トヨタは本気で変わろうとしているのかもしれない:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/4 ページ)
かつてトヨタを取材したときに担当者が発した忘れられない言葉がある。それから20年以上経った今、トヨタは大きく変わったと感じている。
実はボディ外観を見たときはちょっと危惧を覚えた。写真を見てもらえば分かるが、ドアのオープニングラインとフロントのホイールハウスの間が極めて狭い。エンジン隔壁の形状やシートの位置にもよるのだが、こういうタイヤとエンジン隔壁が接近したレイアウトにするとオフセットは大きくなる傾向になる。
ところが実際にシートに座ってみると、ブレーキペダルの中心こそわずかに左へ寄っているが、ペダルサイズが大きく採られているので、自然な位置でブレーキを踏むことができる。加えてシートの着座高も下がっているので、たとえオフセットがあったとしても気になりにくいレイアウトになっている。
オフセットは絶対値以上に、着座姿勢との関連が大きい。着座位置が高く、ペダルを上から踏み降ろすスタイルだと、オフセットはてきめんに体に負担をかける。しかし低く座って前に足を伸ばす姿勢だと多少左右位置がズレていても大きな負担にならない。新型のプリウスはシート高を下げてあるのだ。
「オフセットが無いなんて当たり前じゃないか」と言われそうだが、国産車でも小型車はむしろオフセットが皆無というクルマを探すのは難しい。輸入車の右ハンドルに至ってはこんな状態で売って良いのかと思うほどひどいクルマがある。
「新型プリウスは何かがこれまでのトヨタと違う」そんな印象を受けて帰ってきた。さて、果たしてプリウス一台を見て、しかもただ座っただけで「トヨタが変わった」と結論を出して良いものかと筆者は思った。もう一度トヨタの発表を全部見直してみよう。そう考えてトヨタのプレスサイトである「TOYOTA Global Newsroom」を見直してみたが、めぼしい収穫は得られなかった。
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