NTTコムウェアが導入した「タレントマネジメント」という“武器”:新たな人事戦略(2/4 ページ)
日本企業のグローバル化が加速する中で、新たな課題が浮き彫りになってきた。従来型の人材管理では対応することが難しく、各社は対応に追われている。このような状況の中で、NTTコムウェアは新たなシステムを導入した。それは……。
実力の“可視化・共有化”で、柔軟な人材配置が可能に
タレントマネジメントの基本的なスタンスは、前述の職能やコンピテンシーを適切に評価して可視化・共有化することだ。そして、そのデータに基づいて最適な人材の採用・開発・配置を展開していくことを目標としている。NTTコムウェアでは早くからタレントマネジメントに着目しており、2000年代後半から「コムCP」という独自の人事評価システムを構築し、運用してきた。
「『コムCP』ではさまざまなスキルや行動特性を定義付けして、それぞれ7段階のレベルで評価していました。これを新規プロジェクトの人員配置などに役立てていましたが、基本的に上層部の人間しかアクセスする権限がなく、可視化・共有化という面で問題を抱えていたんですね。そこで、2015年の4月よりクラウドのタレントマネジメント・システムを導入し、よりオープンな評価体系になるよう努めています」
クラウドのタレントマネジメント・システムでは、人によって閲覧権限を細かく設定できる。今までは一元で管理していたために広く公開できなかった評価データを、簡単な調整をすることで現場の上位マネージャーレベルに共有できるようになるのだ。これによって、迅速かつ的確なプロジェクトメンバーのアサインが可能になると、河本氏は見込んでいる。
「実際にこのシステムが役に立った事例があります。あるプロジェクトで急きょ、Javaのプログラマが必要になったことがありまして。そこで、このシステムを用いて人材を検索したところ、開発部署ではなく運用保守をする部署で適正を持つ社員が見つかり、すぐにアサインすることができたんです。このように部署や担当にとらわれず、必要に応じて適材適所に人材を配置する上で、やはりタレントマネジメントは有効だと感じますね」
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