エプソン、産業用ロボットに注力 5年で売上収益1000億目指す
セイコーエプソンが産業用ロボット「Nシリーズ」を発表。製造業を中心に海外展開し、ロボット事業を主柱ビジネスに育てる狙いだ。
セイコーエプソンは11月19日、産業用ロボット「Nシリーズ」を発表した。来年5月から全世界で発売する。折りたたみ式のアームを採用し、省スペース化、作業時間の短縮によって、製造業の自動化ニーズに応えるという。
「Nシリーズ」は、アーム部分を6つの関節で構成した「6軸ロボット」。設置面積を600ミリ四方に収め、従来機から約40%の省スペース化に成功したほか、重量も約3分の2に軽量化したという。
6軸ロボットでは初めて、アームを内側に折りたためる構造を採用した。アームがスペースの外に飛び出さず、周囲との接触を回避する動作も不要――など、無用な動作を減らし、タクトタイム(工程作業時間)の短縮に貢献するという。
近年、スマートフォンなど小型電子機器は高度化・複雑化が著しく、精度の高さが求められる傾向にある。人件費の高騰や高齢化による人手不足も加わり、産業用ロボットのニーズは高まるばかりだが、従来のロボットは設置スペースが広く、人間の作業スペースとの代替しにくかったという。新製品はこうした課題を解決するのが狙いだ。
売り上げ1000億円の主柱ビジネスに
同社のロボット事業は、自社製品を組み立てるロボットの内製化に始まる。ライン構築のノウハウを蓄積し、1983年に「精密組立用ロボット」を社外にもリリース。2009年に6軸ロボットの市場に本格参入した。今年度のロボット事業売り上げは160億円を見込むが、今後5年で1000億円まで引き上げ、主柱に育てたい考えだ。
福島米春ロボティクスソリューションズ事業部長は「社内で培った『省エネルギー』『小型』『精密』がロボット作りの強み」と語る。ロボット単体だけでなく、センシング技術や画像処理技術などの周辺技術、ノウハウとも組み合わせ、製造業をメインにパッケージ製品として提供するという。
同社が抱える世界64カ所の販売・サポート拠点も活用し、海外販路を強化。「パッケージ製品とすれば、詳細な設定は必要なく、エンジニアやスタッフが現地に赴かずに済む。人員不足がネックの中国や東南アジアの市場でもシェアを拡大できれば」(福島事業部長)。
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