外国人観光客は増えているのに、日本が「テーマパーク戦争」に勝てないワケ:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
東アジアの「テーマパーク戦争」が激しさ増している。中国や韓国などで巨大施設が相次いで誕生する中、日本はどうやって戦っていくのか。勝ち目は……。
日本の観光業が抱える「病」
今では絶好調のハウステンボスもHIS創業者・澤田秀雄氏が手を差し伸べるまでは瀕死の状態だった。過去を振り返れば、横浜ドリームランド、奈良ドリームランド、富士ガリバー王国、多摩テック、カナディアンワールド、小田急御殿場ファミリーランドなどなど屍の山ができている。
この背景には、維持コストが重くのしかかるとか施設の魅力云々という問題はあるものの、根っ子には日本の観光業が抱える「病」がある。それはゴールデンウィークやシルバーウィークに代表される「一極集中型休暇文化」である。
当たり前の話だが、巨大テーマパークへ足を運ぶ人というのは1日、短くとも半日くらいはそこで過ごすつもりでいく。つまり、休日1回につき1施設という縛りがあるのだ。そんな巨大テーマパークへ足を運ぼうという時、有給休暇が個人の裁量で自由にとれる国の人々は気分や好みでテーマパークを選ぶことができる。休日に「幅」があることでテーマパークにも「幅」が生まれるのだ。
しかし、日本のように勤め人が周囲や取引先の顔色をうかがって有給休暇がとれない国では週末やらゴールデンウィークに強制的に休みをとらされる人が多い。ではこの人たちがテーマパークへ行こうとしたらどこへ向かうのか。誰もが「ハズれ」は嫌なので、評価の高い人気テーマパークへ行く。つまり、「一極集中型休暇文化」というものが、テーマパークの一極集中を引き起こしているのだ。
なぜ日本では、巨大テーマパークがバタバタと倒れるなかで、TDRだけが30年以上も「一人勝ち」を続けられるのか。タレントの内山麿我さんがブチ切れたような「入場規制」があっても次から次へとTDRを人々が目指すのは、「その日しか休めない」という人が多いからでもある。
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