外国人観光客は増えているのに、日本が「テーマパーク戦争」に勝てないワケ:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
東アジアの「テーマパーク戦争」が激しさ増している。中国や韓国などで巨大施設が相次いで誕生する中、日本はどうやって戦っていくのか。勝ち目は……。
「テーマパーク戦争」の勝算
外国人観光客なんか増えても迷惑だけだという人も多いが、人口減少で社会保障費が重くのしかかる日本では、中国や韓国と外国人観光客の奪い合いをしなくてはいけないのは目に見えている。そうすると、長らく敬遠されてきた巨大テーマパークという話がでてくるかもしれない。
その時、「アンデルセン公園みたいにストレスフリーで素朴な感じだと、観光客がわっとくるんじゃね」なんて勘違いした方向へ話が進まないように注意するのはもちろんだが、まずは日本人の「休み」に対する考え方を変えるということから手をつけなくてはいけない。
どんなに外国人観光客が押し寄せたとしても、それだけでは巨大テーマパークを維持することはできない。平日も休日もよどみなく日本人が来て安定的にお金を落としてくれなくては、広大な廃墟がまたひとつ増えるだけだ。
それはテーマパークに限った話ではない。平日は閑古鳥が鳴いている施設が、ゴールデンウィークなどの大型連休になるや「入場規制中です」と客を追い返す。こういう非効率きわまりない稼ぎ方をしている日本の観光業が果たして18億人の「客」を振り向かせることができるのか。
今のままでは東アジアの「テーマパーク戦争」に勝つことはできない――。「素朴な公園が日本3位のアミューズメントパーク」というのは、われわれにそんな厳しい現実を投げかけてくれている。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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