えっ、完売したらいけない? コンビニの物流がスゴくなった理由:コンビニ探偵! 調査報告書(1/5 ページ)
読者のみなさんは、コンビニに商品が入る時間をご存じだろうか。多くは深夜だが、消費期限の短い弁当やおにぎりなどは1日3回に分けて納品される。実は、これにはいくつかの「思い」があったのだ。
コンビニ探偵! 調査報告書:
「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」……だけど、タフであり続けることも、優しくあり続けることも、簡単ではない。
ほとんどの人が一度は利用したことがある「コンビニ」。ニュースやデータからコンビニで何が起きているのかを、推理して、調査して報告します。筆者は大手コンビニの元本部社員、元コンビニオーナー。コンビニの表と裏を見てきた者だけにしか書けないコラムはいかがですか?
前回、本コラム「たいして儲かっていないのに、コンビニが『24時間営業』を止められない理由 」という記事の中で、オーナーのジレンマについて書いた。深夜の時間帯は来店客数が少なく売り上げが伸びないにもかかわらず、防犯上、最低限2人はアルバイトを雇う必要があるのに加え、時給も割り増ししなくてはならない。売り上げと人件費の効率を考えれば、多くのオーナーは深夜の営業を止めたいと思っているが、ほとんどのコンビニチェーンは商品の入荷を深夜の時間帯に設定しているので、店を閉めることができない――という内容だ。
そこで今回は、コンビニの「物流システム」について、詳しく掘り下げてみることにする。
コンビニの物流システム
まず、コンビニの物流システムについて説明しよう。以下の図を見てほしい。
多くのコンビニチェーンは、店舗の発注データが本部と物流拠点(配送センター)に送られて、商品が配送される――という仕組みだ。これにより、発注から配送までの時間短縮を可能にしている。
物流拠点には2種類あり、1つは、菓子や日用品などの消費・賞味期限の長い商品を扱う拠点だ。ある程度の数を常時保管し、店舗からの発注データをもとにピッキングし配送する。
もう1つは、弁当やおにぎりといった消費・賞味期限の短い商品群を扱う拠点だ。店舗からの発注は、配送センターと弁当工場の両方にデータが送られる。ただし、弁当工場へは各店の詳細データではなく、対象地域全ての注文量をもとに本部がまとめて作成したものが送られる。工場からまとめて送られてきた弁当を配送センターで各店舗の注文明細に仕分け、配送するという仕組みだ。中にはセンターを介さず、独自に配送するメーカーや工場もあるが、多くの場合はこのようなシステムになっている。
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