おでんの「大根」が一番おいしいのは? ローソンがとにかく面白い:新連載・ノッている会社は、ここまでやっている!(2/6 ページ)
消費構造の変化、情報化の進展、かつてないグローバル化……。ますますビジネスが難しさを増す中、ユーザーから変わらぬ高い支持を得ている企業は一体何をしているのか。5社の取り組みを紹介する。第1回はローソン。
独自のチャレンジで新機軸を次々に開拓
かつてユニクロの社長を経験、現在はローソンの社長を務める玉塚元一氏をも、「こんな激烈な競争が行われている業界はない」と言わしめたコンビニ業界。ガリバー、セブン-イレブンの圧倒的な強さは変わらないが、そんな中でローソンは独自のチャレンジで新機軸を次々に開拓している。大きく変化することで、新たな顧客を呼び込み、コンビニの世界を変えようとしているのだ。私は拙著『なぜ今ローソンが「とにかく面白い」のか?』の取材のプロセスで、その思いを強くした。ローソンは、もはや「便利」なだけではなくなっているのだ。
実際、自社農場も、ただ農場を作ったわけではない。例えば中嶋農法をはじめ、土のミネラルバランスを整え、健康な野菜を育てる農法を取り入れている。もちろん、これには大きな手間がかかる。だが、味には絶対の自信を持っている。こんな野菜が、実はローソンにはすでに売られているのである。しかも、ただ野菜を売るだけではない。
例えば「カット野菜」。袋入りで、すぐに食べられるように切られた野菜だ。これが、大ヒットしている。その理由が、味にも鮮度にもこだわった「おいしい野菜」であるのは間違いない。パッケージには、こだわりのネーミングが並ぶ。「土からこだわった中嶋農法のキャベツ千切り」「シャキっとおいしい彩りグリーンサラダ」「4種野菜をバランスよく食べるキャベツ野菜炒め」……。
カット野菜といえば「消毒臭さがある」と言われがちだが、ローソンのものは違う。洗浄を徹底している上に、野菜そのものに強さがあるので、消毒の濃度を抑えても十分に基準をクリアできるのだ。価格は種類にもよるが100円ほど。これに、働く女性やシニア層が飛びついた。野菜が、従来のコンビニの顧客層としては少なかった層を取り込むことに成功したのである。
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