おでんの「大根」が一番おいしいのは? ローソンがとにかく面白い:新連載・ノッている会社は、ここまでやっている!(3/6 ページ)
消費構造の変化、情報化の進展、かつてないグローバル化……。ますますビジネスが難しさを増す中、ユーザーから変わらぬ高い支持を得ている企業は一体何をしているのか。5社の取り組みを紹介する。第1回はローソン。
ローソンのスイーツ戦略
新たな層の集客、そしてコンビニの陳列棚を変えてしまったといえば、ローソンのスイーツ戦略がある。今やどのコンビニでも、所狭しとスイーツが並んでいるが、実は5年前にはこんな光景はなかった。それを一変させたのが、ローソンが2009年に発売し、爆発的なヒットで大きなブームを巻き起こした「プレミアムロールケーキ」なのだ。
もともとコンビニのスイーツは、男性向けに作られていた。安くてボリュームの大きなもの。背景にあったのは、コンビニの主要顧客が若い男性だったことだ。しかし、ローソンは、ここで逆転の発想をした。元来、スイーツ好きなのは、果たして誰なのか。女性向けのマーケットのほうが、圧倒的に大きいのではないか、と。
調査をしてみると、デザート好きだけれど、コンビニでは買わないという女性たちがたくさんいた。まさに20〜30代の女性だった。では、なぜ彼女たちは買わなかったのか。徹底的にリサーチを押し進めると、あるキーワードが浮かび上がった。「生クリームがおいしくない」。百貨店や専門店のスイーツを食べ慣れている女性ならではの声だった。
実際、コンビニのスイーツは量を意識し、コストを下げようとクリームは油脂メーカーの植物性脂肪のホイップクリームを使うのが、常識だった。ところが専門店では、コストは約3倍の乳業メーカーの生クリームを使っていた。この差に、スイーツの味に敏感な女性たちは気が付いていたのだ。
コストはもちろん高くなる。だから値段は少し上がる。コンビニのスイーツとしてはちょっと高いが、専門店のデザートよりは安い、という新しいゾーンが作れるとローソンは考えた。これが、見事に的中する。その最初の商品が、「プレミアムロールケーキ」だったのだ。そのために、コンビニ仕様の生クリームをゼロから開発した。
関連記事
- なぜ「ココイチ」の味は“普通”なのに、トップを独走しているのか
「カレーハウスCoCo壱番屋」(ココイチ)を運営している壱番屋の業績が好調である。市場をみると、ココイチの店舗数は1000店を超えているのに、2位のゴーゴーカレーは80店ほど。なぜココイチはここまで「独走」しているのか。同社の取締役に聞いたところ……。 - たいして儲かっていないのに、コンビニが「24時間営業」を止められない理由
今や、ほとんどのコンビニが24時間営業だ。いつでも開いていて便利な一方、さまざまな問題が生まれている。今回は、24時間営業のコンビニが抱えるジレンマについて調査した。 - なぜ小さなコンビニが、セブンより下でローソンより上なのか
エキナカにあるコンビニ「ニューデイズ」の業績が興味深い。1店舗の1日の売上高に相当する日販は、セブンが65万5000円、ローソンが51万9000円に対し、ニューデイズは57万円。小さなコンビニが、なぜ大手の一角に食い込むことができたのか。担当者に聞いたところ……。 - なぜセブン-イレブンは“王者”であり続けるのか
セブン-イレブンの快進撃が止まらない。2014年4月に消費税が増税され、他のコンビニが苦戦する中、セブンは売り上げを伸ばした。セブンカフェやセブンプレミアムなど、なぜヒット商品を生み出すことができるのか。現役コンビニオーナーの川乃もりやさんに話を聞いた。 - 意外! 大みそかに客が殺到するローソンの店舗がユニーク
2012年7月にオープンしたローソンの「シェラトン・ワイキキ店」がスゴいことになっている。年末年始には多くの日本人観光客が来店して、あるモノを購入しているという。それは……!? - なぜミニストップのソフトクリームは真似されないのか
某コンビニのPB商品がヒットすれば、競合他社が同じような商品を販売する――。コンビニは“真似の歴史”を刻んで、拡大してきたわけだが、真似されないモノもある。そのひとつが、ミニストップのソフトクリーム。その理由は……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.