おでんの「大根」が一番おいしいのは? ローソンがとにかく面白い:新連載・ノッている会社は、ここまでやっている!(4/6 ページ)
消費構造の変化、情報化の進展、かつてないグローバル化……。ますますビジネスが難しさを増す中、ユーザーから変わらぬ高い支持を得ている企業は一体何をしているのか。5社の取り組みを紹介する。第1回はローソン。
目指したのは、最初はミルク感があるけれど、とても軽いクリーム。だが、その開発は簡単にはいかなかった。思うような味が作れない。最終的に、いくつかの生クリームをブレンドすることに思いつく。半年間かけ、開発者は毎日、生クリーム漬けだったという。実に140種類ものブレンドを試し、ようやく納得のいくものができた。
生地も専門店で使われている粉にこだわった。だが、繊細な粉だけに扱いが難しく、工場で生地を焼くのに悪戦苦闘した。まったく新しいラインを作らなければいけなかった。生地の温度、焼く時間、スピードなど、それまでのスイーツとはまったく違うやり方を開発、ようやく生地ができた。
専門店のロールケーキは家族で食べる1本売り。1人で買うのに1本もいらない、という不満が女性にあることも知っていた。1人用ロールケーキという世の中にない商品。そのため、切られた大きさでロールケーキを手作りする、という革新的なアイデアも生み出した。こうして生まれたのが、「プレミアムロールケーキ」だった。社内の最終試食会では、経営陣から「うまいっ!」という驚きの声が上がり、スタンディングオベーションまで起きた、という逸話が残っている。
専門店並みの生クリームが味わえるロールケーキはこうして世に送り出された。1日に5万個売れたらヒット商品になると言われるコンビニデザートで、「プレミアムロールケーキ」は実に1日60万個が売れる驚異的なメガヒット商品になった。棚からあっという間に消え、それがまた話題に。こうなれば、競合も黙っていない。半年後には、10社以上がロールケーキを売り出す。「コンビニロールケーキ戦争」の始まりである。
だが、これがロールケーキの認知に広がり、女性が続々とコンビニにやってくるようになった。コンビニのスイーツは、そのイメージを大きく変え、若い女性たちに受け入れられるものになったのだ。こうなれば、スイーツ開発に力が入り、ラインアップは拡充。それがますます女性客を呼ぶ。こうしてコンビニのスイーツの棚は大きく変わっていった。
そして、かつては「若い男性」が主要客だったコンビニが変化していく。女性たちのコンビニ利用が大きく拡大していくのである。だが、ローソンは、さらに先を見据えていた。
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