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スターウォーズ・ボイコット運動から見える米国の現実(ネタバレなし)世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)

映画『スターウォーズ/フォースの覚醒』が大ヒットしている。米国では公開初日だけで約5700万ドルの興行収入を記録しているが、ちょっと気になる話題が盛り上がっている。それは「映画をボイコットしよう」という動きだ。

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強引な言いがかり

 スターウォーズに話を戻すと、実はこれまでスターウォーズが差別に使われたのは人種の問題だけではない。2015年にスターウォーズのスピンオフとして発売された小説では、同性愛者のキャラが登場したことで、一部からボイコットを呼びかける声が上がった。

 この小説の著者であるチャック・ウェンディグは今回の『スターウォーズ/フォースの覚醒』へのボイコット・キャンペーンを見て自身のWebサイトでこう述べている。「(スターウォーズのボイコット運動は)太陽をボイコットしろと言っているようなものだ。結局何ももたらさない。太陽は輝き続けるだろう。その熱は放たれ続け、世界的に君臨するだろう」

 ウェンディグの言う通り、スターウォーズの人気は、人種差別の根深い米国であっても、強引な言いがかりくらいで衰えることはない。ただボイコット・キャンペーンなんて動きを見るのは、同映画を待ち望んだファンにしてみれば、決して気持ちのいいものではないだろう。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。


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