起業家に必要なのは柔軟性と信念
「強みに寄りかからない方がいい」ということも起業家によく話しています。もちろん起業家にとって強みは必要ですが、あくまで自分の強みが他人にとってメリットかどうかが大事です。起業家になる人にはそこを勘違いしている人が多い。
自分の強みがうまく他の人のニーズとマッチすればいいのですが、そうでないと意味がありません。周りがその人のことをスゴイと思っていないのに、俺はスゴイと思っていても迷惑な話ですよね。
起業家は自分の強みを発揮しようとするのではなく、なるべく世の中のニーズに応えようとした方がいいと思います。そうしないと、「自社の強みはこうだからこれで差別化して世界を狙う」みたいなことを言ってみたものの全然ニーズがなかった、なんてことになりかねません。いまの起業家に必要なのは、柔軟さの中に信念を持つということではないでしょうか。
さじ加減が難しいのですが、いろいろな人たちの話を聞いていると、特にいまの時代は柔軟性を求めている。これをやらなきゃいけないとか、これが正しいとか、そういうものが一通り失敗している時代なのかなと思います。
だから「俺の生き方はこうだ!」みたいな本を出したら、次に失敗する確率が高いと思います。いかに緩くあるかみたいなものが大事だと思うんです。ただ、緩いだけだと流されてしまうので、その中にどう芯を作るかみたいな部分が次の時代の考え方になるはずです。
例えば、天候の変化が激しいという現象があったときに、その現象を変えなきゃいけないと思う人が多いわけです。でも僕たちにそんな力はない。であれば、そのなかでどう幸せに生きるのかを考えるしかない。それはビジネスも一緒です。
いまの時代がどうなっているのかを考えて、それを利用してどう正しく生きるのかを考えるしかないんです。いまだと少子高齢化で若い人に元気がないというのであれば、逆にそこを生かして、若い人をどう元気にできるのかを考えるとか。そういう時代の中でどう楽しむか、そういうものが大事なんです。
やはり時代の流れには逆らわない方がいいのではないかと思っています。逆らってもいいことが何もないですから。
僕は常に、水のようなイメージを持っています。もし僕が水だったらどう流れるのか、ここで水を流したときにどう流れると大きな川になるのか、そんなことを考えています。その緩さ(柔軟性)の中で芯を持てばいいんです。
緩さの中に芯を持つためには、周りの人の幸せを考えることです。周りが幸せじゃない人は、絶対幸せにはなれないですから。また、全員を幸せにすることは無理なので、誰を幸せにしたいかが大事になります。幸せにしたい人のところに自分も行って、自分も相手も幸せな環境をまず作る。そこから広がっていって、その規模が大きくなる。それが市場にもなる、ということだと思うんです。
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