コラム
アイリスオーヤマが目指す“次の家電戦略”(4/4 ページ)
2009年に家電分野に参入した生活用品大手のアイリスオーヤマ。シャープやパナソニックを辞めた技術者を積極的に採用し、大手家電メーカーの後を追いかけ始めた同社だが、昨年後半から、家電づくりに対する姿勢の変化が起き始めている。
2015年からホームセンターで展開する「家電モール」
脱ジェネリックを図り、多機能&高価格からの修正を経ての「なるほど家電」。大手家電メーカーの家電を模したような家電ばかりでは応援する気持ちになりづらいが、家電参入からわずかな期間でこうして軌道修正を行い、生活者に寄り添った開発をしていこうとする様子は注目に値する。
もう1つ、同社の強みはアイリスグループに「ユニディ」などホームセンターを展開するユニリビングを持ち、売り場提案をしっかりとできることがある。2015年から全国のホームセンターを対象にした始めた「家電モール」というサービスでは、同社の家電製品に関する什器やPOPを含めた売り場のコーディネートを行ない、専任の販売員を1人付けるという取り組みも始めている。接客を通じて得た顧客からの意見をフィードバックすることにもつながるため、販売と商品開発の両面で武器になることだろう。
パナソニックやシャープに続いて、東芝の家電部門の存続が危ぶまれており、大量の退職者が出ることも考えられる。その受皿としてアイリスオーヤマが控えているのは歴然としている。ブレない視点で、独自の商品開発にさらに本気を出してきたとき、日本の家電業界の勢力図が全く異なるものになることもありうるのではないか。
だからこそ、家電メーカー各社には、デザイン面や突出した技術力などに磨きをかけて、踏ん張ってほしいと願うばかりだ。(神原サリー)
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