訃報を聞いて何、思う(2/2 ページ)
人間は中年期を迎える頃から、体調や精神的不調が増えるのが自然です。人生の後半に起こる肉体や精神、キャリア、人間関係の大きな転換は「中年の危機」と呼ばれます。今回は、人生の危機をマネジメントすることを考えてみましょう。
絶対に失敗しない法
ビジネスの第一線で活躍する人にとって、危機管理という感覚は欠かすことができません。失敗する「率」が一定であるとすれば、仕事をすればするほど、失敗の「数」は増えるはず。バリバリやればやるほど、そこには失敗と常に隣り合わせとなる環境でもあります。
失敗を絶対にしない方法は簡単です。何もしなければ良いのです。一切のチャレンジ、新たな職務、事業、製品、サービスへの挑戦をせず、決まりきったルーチンだけで済むのであれば、年齢、経験とともに失敗をしない能力は高まります。しかし第一線にいるということは、逆に新たな挑戦や前人未到の分野への参入抜きにはありえないはずです。
自らは絶対に挑戦などせず、他人の失敗を揶揄(やゆ)するだけで済むような人は、確かに失敗しない人生かも知れません。しかし、少なくともこれから先、もはやそんな人間に任せる仕事があるでしょうか? 単なる年功にあぐらをかいて、働かないオジサンでもこれまでは済んだかも知れません。でも、これからはそんな人がいられる場所はあるでしょうか? 人生はまだあと数十年はありそうです。
著名人の訃報をどう感じるか
40〜50代と、老齢とはいえない年齢で亡くなる著名人の訃報を見て「若いのにお気の毒に」と思うようなら、人としてまっとうだと思います。気の毒以外に、例えばわずかでもそこに開放感などを感じることはないでしょうか。常に緊張感の下に置かれ、組織の板ばさみの立場で、自分だけのこと以外に家族のことを考える――そんな人生の重荷からの逃亡を夢想することは、別に異常でも何でもありません。それを具体的行動に移そうと思ったら、要注意ですが。
中年の危機とは、ユングが定義したように人間誰しもが経過するものであって、病気や疾患ではありません。そうした変化が来るものだと自覚し、その変化に踊らされるのではなく、受け止め自覚した上で対処する方が現実的対処といえます。
事業における危険が発生した場合にも対処できるよう、リスクマネジメントは常日頃備えがあるかも知れません。保険加入もその1つ。
さらにご自身の人生における危機対応(クライシス・マネジメント)はできていますか? クライシスマネジメントでは、危機は「来るもの」として準備する、もう一段高い緊急性があります。
人は誰しも年齢を重ねます。その際に考えれば済むこともあるでしょう。ただし、中年期に「危機(クライシス)」が来ることは、かなりの確率で想定しておくべきことといえます。特にビジネスの世界にいる人にとって、現在の大きな環境変化の波は、まずは人事制度の大変革となり現実に襲い掛かってきます。(増沢隆太)
関連記事
- 経営者と経営学者の違い、B'zとAKBの違い
ホリエモン氏が提案したコンビニ居酒屋というアイデアに、大学の教授が否定コメントをしたことで、堀江氏は反論し、経営学者は経営ができるのかという論争が起こりました。専門とは何なのか、経営学者と経営の関係を見ていこう。 - 安いものにはワケがある――規制緩和のツケ
廃棄のカツを格安で転売、市販するというウソのような話が実際に起こりました。安いものには確実に理由があるのです。 - インターンシップと就職の関係
「インターンシップに行くと就職に有利」といった声がありますが、本当でしょうか。「就職活動」は企業側から見れば「採用活動」という、事業の一環。学生の感覚とは異なるビジネスの世界の感覚を理解することで……。 - 求められる中高年人材になるために大切なのは「ドンピシャの経験」
「中高年の転職は不利」とよく言われますが、最近の転職マーケットでは経験豊富な中高年ビジネスパーソンを採りたがる企業が増えているそう。その理由、そして求められる人材になるためにすべきこととは……? - 独身中高年に聞く、結婚したいですか?
「中高年」と呼ばれる年代の独身男女は、結婚についてどのように考えているのだろうか。50〜64歳の男女に聞いた。オーネット調べ。 - 中高年の需要を開拓、骨・関節サポート分野の機能志向食品が2ケタ増
富士経済が行った機能志向食品の市場調査によると、2011年の市場規模は前年比4.5%増の6849億円と拡大したことが分かった。特に骨・関節サポート分野が前年比22.1%増と大きく伸びたようだ。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.