「最恐の殺人地域」を救うことができるのか 武器は日本の意外な“文化”:世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)
「中南米は危険」といった話を聞いたことがあると思うが、私たちが想像している以上に“危険”であるようだ。「世界で最も暴力的な都市2015年」を見ると、上位に中南米の都市がランクイン。こうした状況に対して、日本のある文化が期待されている。それは……。
事実、2014年のサッカーW杯の取材でブラジルを訪れた知人たちは声をそろえて、どこの国にもあるような治安の良くない場所や危険な場所に迷い込まなければ、とりあえずは問題ないと語っていたことを覚えている。
だがそうはいっても、今回の犯罪都市リストを見ると、ワースト50のうち21都市がブラジルだという事実がある。また日本の外務省も、ブラジルについて「ブラジルにおいては、所得格差による貧困、麻薬の売買等に起因する殺人、強盗等の凶悪犯罪が多発しています。世界的に見てもブラジルの犯罪発生率は非常に高く、日本人の被害も多発しています」と、特別な注意が必要であると警告している。
もちろん、今かなり大きく騒がれているジカ熱も、十分に注意する必要がある。だが同時に、中南米が世界最恐の殺人地域である事実も決して忘れてはいけない。妊婦ではない人であっても、中南米での油断は禁物だ。
筆者プロフィール:
山田敏弘
ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。
関連記事
- 世界が販売禁止に乗り出す、“つぶつぶ入り洗顔料”の何が危険なのか
スクラブ製品が、世界的に注目されているのをご存じだろうか。私たちが何気なく使っているスクラブ洗顔料や歯磨き粉などの一部には、いわゆる「マイクロビーズ」と呼ばれるプラスチックの粒子が使われている。その粒子が……。 - 中国政府がいま最も恐れているのは、ネット上の「くまのプーさん」
中国共産党がネット上の検閲に力を入れている。いわゆる「サイバーポリス」と呼ばれる工作員が反政府的な発言などをチェックしているが、2015年に最も削除された発言は……。 - なぜ「楽天」が世界中で叩かれているのか?
英語の社内公用語化など、グローバル企業への成長を目指して動き出した楽天。だが、本当に必要なのは「国際企業ごっこ」ではない。国際社会に対する社会的な貢献が求められる。 - 世界から「児童ポルノ帝国」と呼ばれるニッポン
衆議院で可決した「児童買春・ポルノ禁止法」改正案。日本では大きく報じられていないように見えるが、海外では大きな話題になっている。規制が強化された格好だが、海外メディアの反応は厳しい。その内容とは……?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.