人工知能と外国人に、私たちの仕事は奪われてしまうのか:水曜インタビュー劇場(消える仕事公演)(1/6 ページ)
人工知能によって、自分の仕事が奪われるかもしれない――。そんな不安を感じたことがある人も多いと思うが、実際のところどうなのか。このテーマを調査した、野村総合研究所の担当者に話を聞いた。
人工知能(AI)によって、自分の仕事が奪われるかもしれない――。そんな不安を感じたことがある人も多いと思うが、野村総合研究所と英オックスフォード大学が気になる共同研究を発表した。タイトルは「人工知能やロボットなどによる代替可能性が高い・低い100種の職業」。
人工知能の台頭によって、なくなってしまう職業にどのような共通点があるのか。逆に、残るかもしれない職業にどのような特徴があるのか。前編に引き続き、データを分析した野村総合研究所の寺田知太さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンライン編集部の土肥義則。
「代替されにくい職業」の特徴
土肥: 野村総合研究所と英オックスフォード大学は共同で「人工知能などで代替される確率」を試算されました。寺田さんはこの調査を分析されたわけですが、結果を見て「代替されにくい職業」に何か特徴はありますか?
寺田: 3つの特徴があることが分かりました。1つめは「創造性」。芸術や歴史学など抽象的な概念を整理・創出するために知識が要求されるもの。例えば、ゲームクリエーター、作曲家、マンガ家など。2つめは「コミュニケーション」。他者との協調や、他者の理解など、サービス志向性が求められるもの。例えば、カウンセラー、学校の先生、ケアマネージャーなど。3つめは「非定型」。データの分析や秩序的・体系的操作が求められないもの。例えば、俳優、経営コンサルタント、国際協力専門家など。
土肥: 逆に、代替されやすい職業に何か特徴はありますか? 個人的に気になったのは、人を移動させる仕事がランクインしていますよね。例えば、タクシー運転者、電車運転士、路線バス運転者。
寺田: ある鉄道会社の役員はこのようにおっしゃっていました。「鉄道の自動運転はすぐにでもできる。でも、やらないんだ」と。なぜこのようなことを話されたかというと、自動運転にしてしまうと、事故が起きたときに「責任は誰がとるのか?」という問題が出てくる可能性が高いから。この懸念をクリアーできない限り、自動運転を導入するのは難しい。人間が運転するのではなく、機械が運転すればコストカットはできますが、現時点で会社は「運転は人が行う」と決めているんですよね。
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