お菓子のおまけ「キラキラシール」はこうして生まれた:一大ブームの仕掛け人たち(3/3 ページ)
約30年前には世間でほとんど知られていなかったホロプリズムの「キラキラシール」。菓子商品のおまけとして広く普及し、印刷技術の発展とともに今なお進化を遂げているのだという。
シールの商品開発もまだまだ進む
第11弾では、従来のプリズムタックに替わる新しい提案として、シルク印刷による特色とEプリント印刷が採用された。これはシルク印刷の厚盛りにより、通常(厚盛りでない)部分との質感の違い、凹凸間を表現した加工のことである。このときのヘッドは「ゴーストアリババ」である。部分的にザラッとした風合い、見た目の格好良さで人気を博し、現在の「ビックリマン伝説」シリーズや「スターウォーズビックリマン スペシャルエディション」でも採用されている仕様(印刷方法)なのだ。
悪魔VS天使シリーズは、発売して30年以上の歴史を持つロングセラー商品である。筆者はそのうちの一部しか担当をしていないが、担当するようになった2008〜2009年は、ブランドとしてかなり苦しい時代だった。商品化もブランド露出も少なく、世間的には「ビックリマンチョコ=懐かしいシール付き菓子」に過ぎなかった。
ところが近年、数々の話題コンテンツとのコラボ商品発売や、2014年の発売30周年をきっかけにしたさまざまなプロモーション活動により、驚くほど活性化している。実際、この仕事に現場でかかわっていて、その盛り上がりを肌で感じるようになった。
コラボ商品のヒットなどにより若年層にも広く認知されるようになってきているが、DNPとしては「ビックリマンならではのシール」作りによって、もっとファンの裾野を広げていきたいと考えている。48mm×48mmという限られたスペースにどんな新しいエッセンスや魂ものを吹き込めるか、どうすれば顧客が童心に戻ってつい集めたくなるようなシールを作れるか、そこを一番に追求して取り組んでいきたい。
著者プロフィール
金居裕作(かない ゆうさく)
大日本印刷株式会社 包装事業部第5営業本部営業第2部第1課
2000年に大日本印刷入社。同年、包装事業部に配属となり、食品メーカーを中心に包装資材(パッケージ)や販促・プロモーション等の営業に従事。現在は「ビックリマンブランド」を中心にチョコレート商品全般の業務を担当。
関連記事
- なぜ「ビックリマン」は年間4億個を売り上げるまでのブームになったのか?
1980年代後半、日本中の子どもたちの間で爆発的なヒット商品となったのが「ビックリマンチョコ」だ。なぜビックリマンは年間4億個も売れるほど大ヒットしたのだろうか……? - 受注を減らしたのに、なぜ「チョコモナカジャンボ」は3倍も売れたのか
森永製菓のアイスクリーム「チョコモナカジャンボ」が売れている。売上高は14年連続で伸びているが、その背景にはどんな“仕掛け”があったのだろうか。同社のマーケティング担当者に話を聞いた。 - 王者「ガリガリ君」を倒したのは? ロッテアイスの戦略が面白い
アイスクリーム市場が活気に沸いているが、どの商品が売れているのだろうか。業界などが発表している売れ筋ランキングではなくて、消費者のレシートを分析したところ、意外な結果が! それは……。 - 今、ビックリマンブームが再燃している理由
2000年ごろに到来した2度目のブーム以降、販売が大きく低迷し続けていた「ビックリマンチョコ」。このままこのブランドが忘れ去られてしまうのではという危機感の中、打ち出したアイデアがいかにしてヒットにつながっていったのだろうか。 - 愛されて30周年、なぜ「ビックリマン」はいまだに売れ続けるのか?
1985年にロッテが発売したビックリマンチョコ「悪魔VS天使シリーズ」が今年で30周年を迎えた。その間に紆余曲折があったものの、さまざまな策を講じたことで顧客拡大に成功したのだ。その全貌とは……。 - ビックリマンは関西気質? イラストレーターが語るキャラ誕生秘話
1985年の「ビックリマンチョコ 悪魔VS天使シリーズ」発売以来、おまけシールのキャラクターは大阪にあるデザイン会社、グリーンハウスが手掛けている。個性的なキャラたちは一体どのように生まれたのだろうか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.