なぜ「ビックリマン」は年間4億個を売り上げるまでのブームになったのか?:新連載・一大ブームの仕掛け人たち(1/3 ページ)
1980年代後半、日本中の子どもたちの間で爆発的なヒット商品となったのが「ビックリマンチョコ」だ。なぜビックリマンは年間4億個も売れるほど大ヒットしたのだろうか……?
一大ブームの仕掛け人たち:
古今東西、日本中の多くの消費者を巻き込み、社会現象になるほどまで盛り上がった一大ブームというものがある。そこには仕掛け人と呼べる人々の存在があることは言うまでもない。
本連載では、そうしたブームを作り上げた人たちがその熱狂の裏側を自身の言葉で語っていく。第一弾はロッテの菓子商品「ビックリマンチョコ」を取り上げる。
唐突だが、まずはこの写真を見てほしい。
これを見て「うわぁ、懐かしい!」と思ったあなたは、もしかして今でもなおこの「ビックリマンチョコ」シリーズの菓子商品を買い続けているのではないだろうか。実際、コンビニエンスストアなどに行けば、すぐに手に入れることができる。
かつて日本中の少年たちのハートをわしづかみにし、社会的な大ブームとなったビックリマン。発売から既に30年以上も経っている商品ブランドだが、実は数年前から、再びこのビックリマンブームが到来しているのだ。何も筆者が勝手な憶測で述べているわけではなく、きちんと数字でも裏付けされている。
2013年に人気アイドルグループ・ももいろクローバーZとのコラボである「ももクロマン」を皮切りに、漫画やゲームなどとのコラボ商品を発売するだけでなく、イベントなどユニークな取り組みを次々と打ち出した結果、商品の売り上げは直近5年間で約6倍の伸張を見せるなど、かつてのピーク時に迫る勢いで伸びている。
一体、ビックリマンに何が起きているのだろうか。その前に、まずはビックリマンそのものの歴史、歩みをひも解いてみよう。
消滅の危機だったビックリマン
ビックリマンチョコの発売は1977年である。当時から現在まで商品の内容は変わっておらず、ウエハースチョコにおまけのシールが1枚付いていた。ただ、今と異なるのは、商品コンセプトである「人を“ビックリ・ドッキリ”させること」を目的に、「血のり」などで人を驚かせて楽しむ「どっきりシール」が記念すべきビックリマンの第1弾商品だった。
その後も同じノリで商品を販売していたが、1977年の発売以来、徐々に売り上げが減少。それを回復させるためにさまざまなシリーズを展開してきたわけだが、どれも鳴かず飛ばずだった。
このままではビックリマンという商品そのものが消えてなくなるほどの危機に瀕した中、最終企画として、「これまでとは全く違うシールを作ろう」というアイデアの下、生まれたのが「悪魔VS天使シリーズ」だ。1985年に発売して間もなく、人気に火が付き、一気に売り上げが上昇。見事、消滅の危機を脱したわけである。
では、なぜ悪魔VS天使シリーズが消費者に受け入れられたのだろうか。背景にはいくつかのポイントがあった。
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