なぜ「ビックリマン」は年間4億個を売り上げるまでのブームになったのか?:新連載・一大ブームの仕掛け人たち(2/3 ページ)
1980年代後半、日本中の子どもたちの間で爆発的なヒット商品となったのが「ビックリマンチョコ」だ。なぜビックリマンは年間4億個も売れるほど大ヒットしたのだろうか……?
おまけシールへの強烈なこだわり
悪魔VS天使シリーズは発売当時、他社のおまけ付き菓子などではやっていなかった、シール素材を複数組み合わせるという取り組みを行った。「天使」「お守り」「悪魔」という3つのキャラクターを作り、天使はアルミ蒸着シール、お守りは透明シール、悪魔は紙シールと、見た目で瞬時にアタリ・ハズレが感覚的に分かるようにした。これが子どもたちに大変受けたのである。
また「ヘッドキャラクター」には、キラキラシールとホログラムシールを組み合わせた。ヘッドシールが非常に希少だったので、子どもたちが競うようにして何個も買っていた。
当時、シールは総計37〜38種類あったのだが、その中でヘッドシールは1〜2種類しかなかった。パッケージを開けてみないとどのシールが出てくるか分からないドキドキ感を演出したことにより、子どもたちの間でクチコミが発生して、多くの人に認知され、やがて日本中を巻き込む巨大なブームとなっていったのである。
もう1つの成功ポイントが、おまけシールの裏面を活用して、天使、お守り、悪魔の3つの種族が存在する「3すくみ」、悪魔と天使の二大勢力の争いの物語、そして各勢力を統括する「ヘッド」の存在という独特の世界観を取り入れたストーリー性の高いものにした点である。
例えば、シリーズ第1弾の代表的な3すくみとして「桃太郎」がある。シールの裏面を読むと3つのシールで1つの物語になっているということが分かるだろう。シールの左上には3つのシール共通の「3すくみマーク」を入れている。同じ物語であることの証だ。
一方、ヘッドシールの裏書きは悪魔VS天使シリーズの壮大な世界観あるストーリー性を持たせている。こうしたストーリーを作っていったことが、後に少年漫画雑誌『月刊コロコロコミック』での連載やアニメ化への展開につながった。
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