靴は生きた素材であることを忘れてはならない。死に絶えることなく、いつまでたっても生き物のように、履く人と一体化するものである(レオナルド・フェラガモ)
レオナルド・フェラガモは世界的有名なブランド「フェラガモ」の創設者、サルヴァトーレ・フェラガモの次男。彼は、もっとも腑(ふ)に落ちる言葉を残したのではないでしょうか。
私は、男性ファッションを勉強するときにメンズ雑誌を手に取ることが多いのですが、雑誌の情報よりもっと根本的なことを学びたいときは、服飾評論家である落合正勝氏の『男の服装術』(PHP研究所)という本を読みます。“靴”についての章の中で、落合氏は靴についてこう記しています。
磨いていない靴を履いている人は紳士ではない。ピカピカに光った靴は目立ちすぎる。鈍く光った重厚な靴を履いている人こそ紳士である。
人にはそれぞれ価値観がありますが、私の知る限り、トップと呼ばれる人たちに共通するのは、みな“いい靴”を履いていらっしゃるということです。
いい靴は“先行投資”
最初に紹介するのは、不動産ファンド会社社長のAさんのエピソード。
「若いころ、上司からは『靴はいいモノを履きなさい』と言われてきたから、いつも自分の買える範囲の中でいいモノを履いてきた。最近は安いモノでも質も見た目もよくなっているという話を聞いて、一度購入してみようと思ってお店に行ってみたけれど、やっぱりダメだった」
具体的にどこが悪かったのか、詳しく聞いてみると、
「まず、店員。靴のことを全く理解していないようだった。その日、僕は紺と黒の中間のダーク系の色のスーツを着ていた。僕が『今日のスーツに似合う靴はどれがいいかな?』と話しかけたら、新作だと言って茶色の靴を出してきた。本来、靴は足元を引き締める物だからスーツより濃いものを履くのがマストなのに……。
さらに驚いたのは、その日は大雨だったというのもあるけれど、『今日みたいな天気の悪い日は履くのをやめたほうがいいでしょう』と言われて、とっとと店から退散したよ。雨の日に履けない靴なんて、もはやビジネスシューズではないからね」と苦笑していました。
Aさんは、さらにこう続けます。
「ブランド名だけの高い靴は好きじゃないけれど、本当にいい靴というのは手入れさえキチンとしていれば長く使えるから、十分その価値はある。安い靴を買ってすぐに捨てる――を繰り返すよりも、先行投資と思っていい靴を買うほうがよっぽど経済的だよ」
私の知る限り、Aさんを含めトップと呼ばれる人たちは、一足10万円以上もする靴を普段から履いていらっしゃいます。たとえ天気が悪くても、高価な靴であろうと、いつもいい靴を履くのは彼らの共通点のようです。
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