取材を断ったら「嘘つき」と怒られないために、広報担当者がすべきこと:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
先週からネットで話題になっているジャーナリスト・藤代裕之さんの「Yahoo! 嘘つき問題」。さまざまな有識者が意見を述べている中で、筆者の窪田氏は企業広報が対応すべきことを紹介している。それは……。
スピン経済の歩き方:
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。
先週からネットで話題となっているジャーナリスト・藤代裕之さんの「Yahoo! 嘘つき問題」。さまざまな有識者が、さまざまな立場でご見解を述べていらっしゃるので、今さらこの問題についてどうこう語るつもりはない。
というより、語れない。藤代さんの怒りがいまいちピンとこないからだ。
そう言うと、なにやら藤代さんのお考えを否定しているように聞こえるかもしれないが、そうではない。かれこれ20年近く「取材」というものをやってきたが、自分を「ジャーナリスト」だと思ったことがない。「バカにされたような感じがして悔しかったんだろうなあ」という人としての琴線的なところは想像できるが、「ジャーナリストとしての矜持」というのか、そういう社会正義的な高尚なところまで思いをはせることができないのだ。
これは恐らく、取材者としての振り出しが企業広報から存在すらも忌み嫌われる「フリーの週刊誌記者」だったことが関係している。
トップへの取材を申し込んでも、だいたい適当な理由をつけて断られていた。「メディアにも積極的に情報を開示します」なんてドヤ顔でうたう企業に限って質問状の回答すらよこさない。なじみの新聞記者のインタビューには応じるくせに、こちらは会見すらも門前払いなんて対応が当たり前の時代だった。
駆け出しのころは、大新聞の取材に応じている記事のコピーなんか持っていって、「媒体差別をするんですか?」なんて広報に凄(すご)んだこともあった。だが、彼らも社長から「そんな取材受けたくないから、適当な理由つけて断っておけ」と命じられた一介のサラリーマンに過ぎない。いくらゴネても反社会勢力のような扱いをされるのがオチだと気付いてからは、どうしても会って話が聞きたい相手は、「正面玄関」からではなく、トップとコネのある人に接近して橋渡しを頼むなど「勝手口」から攻めることにしている。
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