取材を断ったら「嘘つき」と怒られないために、広報担当者がすべきこと:スピン経済の歩き方(3/5 ページ)
先週からネットで話題になっているジャーナリスト・藤代裕之さんの「Yahoo! 嘘つき問題」。さまざまな有識者が意見を述べている中で、筆者の窪田氏は企業広報が対応すべきことを紹介している。それは……。
「企画のギャップ」を理由にする方法
ここで「俺様はジャーナリストなんだから特別扱いしろよ」という人はほとんどいない。「ジャーナリスト」は「中立公平」「平等」が好きなので、「特別扱い」を求めるジャーナリストは、それだけで取材を断っていい類の危険人物だ。
これでカンのいい取材者は、「ああ、これは遠回しに断っているんだな」と気づき、他のアプローチを探る。ただ、粘り強くアプローチをしてくる人もいるだろう。そういう場合は「企画のギャップ」を理由にする方法もある。
企業広報の間では常識だと思うが、取材の申し込みがあった際には事前に取材意図や質問を確認する。それを踏まえて、このように回答をする。
「いただいた取材意図や、質問を社長にあげましたが、今時点では、××様の満足のいくようなお話ができないので、お断りして欲しいと言われてしまいました。力になれなくて申し訳ありません」
要するに、あなたが求めている話はでないので、お互い時間の無駄なのでやめておきましょう、ということをまわりくどく伝えているのだ。もちろん、そこで相手が「じゃあなんだったら喋れるんだ? 社長の喋りたいテーマでいいですよ」と食い下がってくることもある。それに対しても即答をせず、一旦持ち帰ってから後日、「中期経営計画をまとめているところで、社長自身もお話したいテーマも固まっていない段階ですので、今回は見送らせてほしいという返答がきました」なんて対応を粘り強く続けていくのだ。
ここまでやられると、どんなに鈍感な人間でも「取材拒否」と分かる。やられた本人が言っているのだから間違いない。
そう、実はこれは数年前、筆者自身がある企業広報の女性から受けた対応なのだ。そこの企業トップに面と向かって問い詰めたいことがあったので、かなりしつこく取材を申し込んだのだが、彼女もそれを上回るしつこさでかわしてきた。結局、この「攻防」は2カ月にも及んだ。
こちらの希望が通らないという苛立ちは感じたが、その一方で、見ず知らずのフリーライターにここまで時間と労力で割いて対応する広報としてのスタンスには素直に「たいしたもんだ」と感じたものである。
関連記事
- テレビや新聞には、なぜ「文春砲」のようなスクープがないのか
年明けから「文春砲」の勢いが止まらない。ベッキーとゲス川谷氏の「不倫」報道を皮切りに、甘利明大臣の「口利き疑惑」、宮崎謙介議員の「不倫」などが続いているが、筆者の窪田氏はある弊害を懸念している。それは……。 - 「着物業界」が衰退したのはなぜか? 「伝統と書いてボッタクリと読む」世界
訪日観光客の間で「着物」がブームとなっている。売り上げが低迷している着物業界にとっては千載一遇かもしれないが、浮かれていられない「不都合な真実」があるのではないだろうか。それは……。 - NHKが、火災ホテルを「ラブホテル」と報じない理由
言葉を生業にしているマスコミだが、会社によってビミョーに違いがあることをご存じだろうか。その「裏」には、「華道」や「茶道」と同じく「報道」ならではの作法があるという。 - ファミレスでタダでバラまく新聞が、「軽減税率適用」を求める理由
ホテルやファミレスなどで新聞が無料で配られているのにも関わらず、読んだことがない人も多いのでは。大量の新聞紙が「刷られて、運ばれて、廃棄されて」いるわけだが、筆者の窪田氏はあることにスッキリしないという。それは……。 - 「SMAPは友情と打算の二重構造」と感じる、これだけの理由
日本中がザワザワした「SMAP解散騒動」がようやく落ち着こうとしている。一連の動きを振り返って、筆者の窪田氏が最も印象に残ったのは「情報戦」だという。その理由は……。 - ベッキーの謝罪会見は、なぜ「質問禁止」だったのか
人気タレントのベッキーに、初スキャンダルが発覚した。所属事務所内でベッキーは緊急会見を開いたものの、メディアからの「質問」は一切受け付けなかった。果たしてこの戦略は“正しかった”のか、それとも……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.