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ハリケーンの被害から10年、ニューオリンズはどのようにして「再生」したのか:新連載・事例に学ぶ、地方創生最前線(2/4 ページ)
ジャズ発祥の地として名高いニューオーリンズ。米国ルイジアナ州最大の都市に2005年、ハリケーン・カトリーナが襲った。10年が経った今、現地はどのようにして「再生」したのか。
地域間で大きく差がつく平均寿命
地域での活動を続けるうちにジェフリーが気付いたのは、ブロード・ストリートの南北の深刻な「健康格差」であった。この道路を挟んだ南北の地域では、平均寿命において20年もの差がついていた。北側での平均寿命が約73歳であるところ、貧困地域とされる道路の南側では平均寿命は約55歳にとどまっていた。なお米国の平均年齢は79.8歳で、55歳に最も近いのは世界ランキング211位であるアフリカ・ウガンダの54.9歳である。
このデータに驚いたジェフリーは、なぜこれほど寿命に格差がうまれるのかを調べた。大きな原因は、不健康な食生活と、医療へのアクセスの困難さであった。彼は前者に注目した。貧困地域に住む人々は、コンビニのスナック菓子やホットドッグを中心とした食生活を送っていた。そもそも彼らの居住地区は「食の砂漠」と呼ばれるほど生鮮食品を手に入れることが難しかったのだ。
「ハリケーンの被害によって、多くのスーパーマーケットが閉店しました。その後多くの店舗が再開しましたが、貧困地域では復興が遅れたため経済的な見通しが立たず閉店したままだったのです」とジェフリー。結果、マイカーを持たない住民にとって、新鮮な野菜や魚肉などの生鮮食品は手に入りにくくなっていたのだ。加えて、そもそも食に関する知識が欠如しており、スナック菓子ばかり食べている生活が健康を害するという観念があまり普及していないという課題もあった。
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