どう防げばいいのか? SNSによる情報漏えいが増えている:炎上の火種(1/4 ページ)
SNSによる情報漏えいが増えている。特殊な技術を要するものではなく、SNSを利用する上でほとんど無意識に個人情報や機密情報を漏えいしてしまう、「過失」の漏えいである。このような漏えいを抑止するために知っておくべきこととはなにか。
著者プロフィール:藤田朱夏
ソーシャルリスク総研(株式会社エルテス)広報担当
日本マイクロソフト株式会社を経て2015年8月、株式会社エルテス入社。以来、企業広報を中心にプレスリリース配信、取材対応、ブランド戦略などに従事。2016年2月、同社内に新設されたソーシャルリスク総研にて広報を兼任。執筆を中心に大学機関に対する講演など、広くソーシャルリスクに関する啓蒙活動を行う。
ソーシャルリスク総研は、株式会社エルテスによって2016年2月に設立されました。ソーシャルリスクを低減させることを目的とした研究機関として、ネット炎上などのソーシャルリスクに関する研究を行い、その成果を社会に還元してまいります。
情報漏えいと聞くと、サイバーアタックや、顧客データの転売といった内部不正を想像する人も多いだろう。日本年金機構への標的型攻撃メールによる個人情報の大量漏えいも記憶に新しい。マスメディアでも大々的に報道され、各企業や団体では、経営層を中心により一層セキュリティへの関心が高まった。とりわけ情報システム部門においては、何らかのセキュリティ対策を考慮するようお達しがあった人も多いだろう。
しかし、新たなタイプの情報漏えいが増えている。それが、SNSによる情報漏えいだ。これは、特殊な技術を指すのではない。SNSを利用する上でほとんど無意識に個人情報や機密情報を漏えいしてしまう、「過失」の漏えいである。そのような新たな漏えいを抑止するために知っておくべきこととはなにか。
SNSの利用者数は増加の一途をたどっている。ICT総研によると、日本のSNS利用者数は6000万人を突破しており、2017年末には約7000万人への拡大が見込まれている(参照リンク)。主に利用されているSNSとして多いのが、現在はLINE、Twitter、Facebookだが、Instagramの台頭や、新たなSNSが次々とリリースされており、利用人口の増加をより加速させている。
SNSとはソーシャル・ネットワーキング・サービスの略称であり、その名の通り人脈を築くためのサービスであるため、プロフィール機能が搭載されている。よく記載されているのが、学校や会社などの所属先名、居住地、出身地、出身校、趣味、家族構成、そしてニックネームや実名だ。Facebookでは実名を推奨している。
これを聞くと、いやいや自分は個人情報を記載していない、あるいは所属先であれば会社名ではなく「メーカー勤務」など曖昧(あいまい)に書くなどして匿名で利用しているし、ましてや勤め先の機密情報を書き込むことなどあり得ない、と思う読者は多いかもしれない。ところが、冒頭に申し上げたようにSNSには抜け穴がある。その1つが、画像投稿機能だ。
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