アップルが「iPhoneロック解除」に応じることができない理由:世界を読み解くニュース・サロン(1/7 ページ)
米国で「iPhoneロック解除」をめぐって大きな論争が起きている。騒動を詳しく見ていくと、この問題は米国だけのものでなく、私たちの生活にも影響を及ぼすかもしれないことが分かってきた。
世界を読み解くニュース・サロン:
今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。
欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。
今アップル社のスマートフォン「iPhone」をめぐって大きな論争が起きている。
何をもめているのか簡単に説明するとこうだ。FBI(米連邦捜査局)は、すでに死亡しているテロ犯が使っていたiPhoneの中身を捜査目的で調べたいのだが、近年アップルがiPhoneのセキュリティを強化しているためにアクセスできないでいる。そこでFBIは裁判所に訴えて、アップルに対してFBIの捜査に協力するよう命じさせた。にもかかわらずアップルはその命令をきっぱりと拒絶した――。
単純な話に思えるが、このアップルの協力拒否によって、米国内では連日のように関連ニュースが報じられる事態になっている。さらに、セキュリティソフト会社McAfeeの創業者ジョン・マカフィーが、テロ犯が使っていたiPhoneの暗号化データを3週間で解除してもいい、と声を上げるなど話題が広がっている。
この議論、表面的には「携帯デバイス中にある個人データのプライバシー保護」と「テロ事件などに対する国家の捜査・治安活動」というどちらも重要な概念が天びんにかけられ、どちらを重視すべきかが問われている。だが話はそんな単純なものではなさそうだ。
日本の報道では少し情報が断片的になっている感があるが、今回の騒動を詳しく見ていくと、この問題が決して米国だけの問題でないことが分かる。日本の捜査当局にも大きな影響を与えかねないものであり、私たちの生活にも影響があるものである。そういう意味でも今きちんと米国で起きている騒動を知ることは意味があるはずだ。
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