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半数が借金して大学へ行く時代に知っておきたいこと3分で読める 荻原博子の今さら聞けないお金の話(1/3 ページ)

上がり続ける大学の授業料。増え続ける奨学生。今回は、知っておきたい教育に関するお金のことを経済ジャーナリストの荻原博子さんが分かりやすく解説します。

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荻原博子の著者プロフィール:

 1954年生まれ。難しい経済やお金の仕組みを生活に根ざして分かりやすく解説し、経済だけでなくマネー分野の記事も数多く手がけ、ビジネスマンから主婦に至るまで幅広い層に支持されている。

 バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞、雑誌等の連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。

 「どんとこい、老後」(毎日新聞社)、「お金は死ぬまえに使え」(マガジンハウス)、「ちょい投資」(中央公論新社)、「荻原博子式年金家計簿2016」(角川書店)、「10年後に破綻する人、幸福な人」(新潮社)など著書多数。


3分で読める 荻原博子の今さら聞けないお金の話:

 「え、そうだったの!?」

 年金、医療保険、介護保険、教育費、投資。私たちの生活に密接な制度や仕組みについて、きちんと理解していますか?

 本連載では、いま話題になっているけど今さら聞けない、身近なお金に関する仕組みや制度のことを経済ジャーナリストの荻原博子が分かりやすく1から解説していきます。


 2001年に、「米百俵」という言葉が流行語大賞になりました。これは、当時首相だった小泉純一郎氏が、所信表明演説で使った言葉。明治初期、貧乏だった長岡藩(新潟県)に他藩から米百俵が届けられました。ところが、長岡藩の大参事、小林虎之介は「百俵の米は食べてしまえばそれまでだが、それを教育に使って人を育てれば、千俵、万俵になる」といい、これを売却して学校を建てたという話から来ています。

 けれど、今の日本の教育は、この「米百俵の精神」とは真逆になっています。

 政府の総支出に占める公財政教育支出の割合(全教育段階)を見ると、日本は9.4%とOECD加盟国31カ国の中、最低となっています。もちろん、小学校、中学校は義務教育で、高校も年収がそれほど高くない人は授業料無償化になりますが、大学の費用に対して国が支援するお金が少ないので、こうした結果になっているのです。ちなみに、フランスなどは国公立であれば大学まで無料です。

 昔は、お金がある学生は私立大学へ、頭が良くてもお金がない学生は国立大学へ行くということが多かったのですが、今は、お金がなければ国立大学にも行けません。大学の授業料は、1950年には国立大学で年間3600円。当時の大卒国家公務員の給料が5000円前後で今が20万円前後ですから、そこから逆算すると、65年前の国立大の授業料は現在価格で年間15万円前後ということです。

 けれど、今は国立大学でも年間約54万円の授業料が必要で、このほかに検定料、入学金、通学費、教科書、参考図書、課外活動費など全て入れると、4年間で500万円を超える大金が必要です。しかも財務省は、2016年度から国立大学の運営交付金を削減するため、これがさらなる学費の値上げにつながりそうです。

 こうした中で教育格差が激しくなり、日本では、国立大に通うのも裕福な家庭の子どもでないと難しくなってきました。

photo 国立・私立大学授業料の推移
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