累計260万丁! 工具「ネジザウルス」がバカ売れした理由:水曜インタビュー劇場(はずす公演)(7/7 ページ)
これまで“絶対にはずせない”と思われてきたネジを、“絶対にはずす”工具「ネジザウルス」(運営:エンジニア)をご存じだろうか。工具は年間1万丁売れれば大ヒットと言われている中、ネジザウルスは累計260万丁も販売。消費者の心を“つかんだ”理由について、同社の高崎社長に聞いた。
泣かず飛ばずの商品もあった
土肥: なるほど。「お客さんの声+現場の声=いい商品ができる可能性アップ」という公式って、工具の世界だけではないですよね。他の商品やサービスでも、同じようなことが言えるのではないでしょうか。
ところで、高崎社長はこれまで800商品ほど企画されたそうですね。ネジザウルスは大ヒットしましたが、逆に泣かず飛ばずの商品もあったのでは?
高崎: 残念ながら、ありますね……(涙)。
土肥: 例えば?
高崎: 「ウイングピンセット」という商品を開発しました。長時間の作業でも疲れを感じさせないように、指を置くことができる「ウイング(可動翼)」を付けたんですよね。開発したときには「世界中のピンセットに羽根を付けてやるー!」「ウイングピンセットでスゴい会社になるぞー!」と意気込んでいたのですが……。
土肥: 結果は?
高崎: 逆に、羽根をもがれてしまいました(涙)。ただ、こうした失敗を何度も経験して、ネジザウルスが誕生したと思っています。ネジザウルスの成功を自分なりに分析したところ「マーケティング(Marketing)」「パテント(Patent)」「デザイン(Design)」「プロモーション(Promotion)」が大事だ――ということが分かってきました。英語表記の頭文字を取って、私は「MPDP理論」と呼んでいますが、これから企画する商品はこの理論をはずさなければ、成功する可能性は高くなるかなあと思っています。
土肥: なるほど。本日はありがとうございました。
(終わり)
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