高齢者の5人に1人が貧困 どうすれば老後を守れるのか:3分で読める 荻原博子の今さら聞けないお金の話(2/4 ページ)
高齢者の貧困率が問題になっています。なぜ高齢者が貧困に陥ってしまうのでしょうか。私たちの老後はどう守ればいいのでしょうか。経済ジャーナリストの荻原博子さんが分かりやすく解説します。
なぜ、高齢者が貧困に陥りやすいのか
高齢者の貧困率が高い一つの要因は、日本という社会が急速にグローバル化しているからです。
ヒト・モノ・カネが自由に国境を越えて行き交うグローバル化の中で、企業は人件費の高い日本から安い労働力が確保できる海外に移転し、また、外国人の日本企業への投資も増えています。これは、日本の企業の外国人持ち株比率の急増と比例しています。
外国人株主には、金を出すのだから口も出すという「物を言う株主」が多く、企業はこうした株主の意向で、利益を確保するために給与カットからリストラまであらゆることをしなくてはならなくなっています。
米国カリフォルニア州職員退職年金基金などの海外投資家グループが、トヨタ自動車、住友不動産、三菱UFJフィナンシャル・グループなど日本を代表する企業に対して株主としての要求書を突きつけたのは有名ですが、これらの企業の外国人の持ち株比率を見ると、トヨタ自動車が30.3%、住友不動産が36.8%、三菱UFJフィナンシャル・グループが38.9%と、彼らも物申すだけの資格は備えているということです(2014年3月末)。
さらに、すかいらーくグループは外国人株主が99.7%、中外製薬が75.4%、日産自動車が72.5%、昭和シェル石油が67.5%と、株の比率だけで見ると、もはや日本の企業とはいえない状況となっています(2015年1月時点)。
こうした中で終身雇用は崩れ、従来型の日本企業の特色は徐々に失われつつあります。「給料は右肩上がり」「老後の面倒も会社が見てくれる」という日本企業の姿は消え、思いがけないリストラや給与カットで、老後のメドが立たない人が増えているのです。
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