高齢者の5人に1人が貧困 どうすれば老後を守れるのか:3分で読める 荻原博子の今さら聞けないお金の話(4/4 ページ)
高齢者の貧困率が問題になっています。なぜ高齢者が貧困に陥ってしまうのでしょうか。私たちの老後はどう守ればいいのでしょうか。経済ジャーナリストの荻原博子さんが分かりやすく解説します。
どうやって「老後」を守ればいいのか
こうした状況の中、どうやって自分自身の老後を守っていけばいいのでしょうか。
財産については、インフレになるという前提で、株などの有価証券や土地の購入を勧めている人もいますが、私は、しばらくはインフレにならないと考えています。
それは、日銀のインフレ政策がことごとく失敗していることからも分かります。年間80兆円という巨額な国債買い入れで大量の資金を銀行に流したにもかかわらず、そのお金はあまり貸し出しには回らずに日銀の当座預金に預けられました。その当座預金の残高を減らすために行われたマイナス金利政策では、資金が国債に流れて、インフレで金利が上がるどころか国債がマイナス金利に陥りました。
なぜ、こんなことが起きているかと言えば、資金需要が少ないからです。それを、日銀がはっきりと自覚しない限り、デフレからの脱却もないでしょう。だとすれば、いま取らなくてはならない財産保全方法は「借金を減らして、現金を増やす」というデフレ対策です。デフレの中では、借金のマイナス面は相対的に膨らみ、現金の価値は相対的に上がるからです。
しっかりと資産防衛をすると同時に、もう一度、家計を見直してみることも必要です。給料は企業にとっては最も大きなコストなので、グローバル化が進む中では、最も削られやすいところです。ですから、給料は下がることはあっても上がることはないということを前提に、その給料の中から少しでも将来のために貯蓄できるように家計をダウンサイジンズしておくべきでしょう。
こうして、少しでも多くの資金を老後のために確保しておけば、それだけ老後の安心が増え、貧困に陥らずに済むかもしれません。
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