ショーンKは本当に“いい人”なのか 嘘で成功した人たちの「共通点」:スピン経済の歩き方(3/5 ページ)
経歴詐称で世間を騒がしたショーンKを擁護する声があがっている。「いい人だ」「的確なコメントをしていた」といった意見が目立っているが、嘘で成功した人たちにはある“共通点”があるのでは。筆者の窪田氏によると……。
経歴だけで成功をしたわけではない
そういうインチキに走ったジヨンさんだが、仕事ぶりは誠実そのもので、講義の前には徹夜で準備をして、週末には無料公開講座を開催。出席率のいい生徒にはさまざまな学習資料を追加提供するなど「営業」にも熱心だったという。カミングアウト後、ジヨンさんはこのように言っている。
「嘘で固めた学歴を実力でカバーするため、他人より一層努力した」
川上さんは2007年に『MBA講義生中継 経営戦略』(TAC出版)なる本を出している。MBAを取得していない人がMBA講義の本を出す。当然、そこには相当な努力があったはずだ。また、テレビやラジオだけではなく、多くの経営セミナーなどでも登壇している。さすがに、知識ゼロで60分や90分語れるわけはないし、受講した人間からもおかしいという声がでるはずだ。それがなかったということは、川上さんもジヨンさんも同様、人の何倍も努力をされたはずだというのは容易に想像できる。
「嘘」のカバーというのは、「人柄」にもあてはまる。韓国の経歴詐称問題の発端となった東国大のシン・ジョンア助教授は、川上さんと同様に高卒だったが、「米有名大学イエール大の西洋美術史の博士号」というウソの経歴を武器に、美術界でのしあがり、国際美術展「光州ビエンナーレ」の責任者という大役まで務めた。
もちろん、経歴だけで成功をしたわけではない。実力はもちろん、話術をはじめ抜群のコミュニケーション能力があった。シン助教授と同じ美術館に勤務した職員はこのように述べている。
彼女は、自分のキャリアにプラスになる人間には誠心誠意仕えた。美術界の大物たちとの会合ではイスに背をつけないようにして礼儀を尽くし、交際する価値ありとみると贈り物攻勢。大物の意見には異論を挟まず、尊敬しますといつも口にする。そんな態度を大物たちは気に入っていた。(AERA 2007年10月8日)
関連記事
- 「着物業界」が衰退したのはなぜか? 「伝統と書いてボッタクリと読む」世界
訪日観光客の間で「着物」がブームとなっている。売り上げが低迷している着物業界にとっては千載一遇かもしれないが、浮かれていられない「不都合な真実」があるのではないだろうか。それは……。 - 「日本は世界で人気」なのに、外国人観光客数ランキングが「26位」の理由
日本政府観光局によると、2014年に日本を訪れた外国人観光客は2年連続で過去最高を更新した。テレビを見ると「日本はスゴい」などと報じているが、国別ランキングをみると、日本は「26位」。なぜ外国人たちは日本に訪れないのか。その理由は……。 - 日本人のここがズレている! このままでは「観光立国」になれません
「訪日客が1300万人を突破」といったニュースを目にすると、「日本は観光立国になったなあ」と思われる人もいるだろうが、本当にそうなのか。文化財を修繕する小西美術工藝社のアトキンソン社長は「日本は『観光後進国』だ」と指摘する。その意味とは……。 - 「LEDよりも省エネで明るい」という次世代照明がなかなかブレイクしない理由
「CCFL(冷陰極管)」という照明をご存じだろうか。LED照明にも負けない省エネで低価格な製品だが、筆者の窪田氏は爆発的な普及は難しいという。なぜなら……。 - なぜ日本人はウイスキーを「水割り」で飲むのか?
ドラマ『マッサン』効果でウイスキー市場が盛り上がっている。各社の売り上げが伸びている一方で、気になることも。それは「水割り」。海外の人たちは「ストレート」や「ロック」で飲んでいるのに、なぜ日本人の多くは水割りを好むのか。その理由は……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.