ショーンKは本当に“いい人”なのか 嘘で成功した人たちの「共通点」:スピン経済の歩き方(4/5 ページ)
経歴詐称で世間を騒がしたショーンKを擁護する声があがっている。「いい人だ」「的確なコメントをしていた」といった意見が目立っているが、嘘で成功した人たちにはある“共通点”があるのでは。筆者の窪田氏によると……。
経歴詐称をする人によくみられる特徴
川上さんにも同様のことがいえる。交流をもつ人たちの中で川上さんを悪く言う人はほとんどいない。スポーツジム仲間であるタレントの下田大気さんは、「物腰はすごく低く偉ぶらず好印象だった」と評価しているし、キャスターの堀潤さんもNHKを辞めたときに、真っ先に心配をして駆けつけてくれたことで「ファン」になったとテレビ番組でおっしゃっていた。
そう聞くと、川上さんは「いい人」なんだろうなと思うだろうが、実はこれも経歴詐称をする人によくみられる特徴だ。ウソで固めたキャリアをもつ人はその「後ろめたさ」から敵をつくらない。そこでどうするかというと、絵に描いたような完璧な「いい人」を演じる。経歴詐称が露呈しないように努力をするのと同じように、「あいつは怪しいぞ」と疑惑の目を向けられぬよう、誰からも愛される「キャラづくり」をするわけだ。
事件取材をしていた時、詐欺師やらとよく会ったが、「見るからに怪しい」という人はまずいなかった。腰が低く、誠実そうで、誤解を恐れずに言うと、スゴ腕の詐欺師であればあるほど「人間的魅力」に溢れた人が多かった。頭の回転も良く、人の心をとらえることに長けているからだ。
川上さんを詐欺師扱いしているわけではないが、彼の「いい人キャラ」と、これまで見てきた詐欺師の「人あたりの良さ」がデジャブというか妙にかぶってしまうのだ。
『MBA講義生中継 経営戦略』の中で、川上さんは一言も自身で、MBAを取得したとかは明言していない。著者プロフィールでも一切どこそこでMBAを取得したとかの言及はない。
よくこれでMBA講義という本が出せたなと驚く一方で、おそらくこれは川上さんなりの「リスクヘッジ」だったのではないかと思っている。
これならば「お前、MBAホルダーじゃないだろ」というツッコミがあっても、「いや、私は講師をしただけですし、どこにもそんなことを言ってませんよ」と逃げがうてる。
こういう「用心深さ」も、詐欺師とこれまた妙にかぶってしまう。
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