連載
クライストチャーチ大地震から5年、現地の復興はどうなっているのか?:事例に学ぶ、地方創生最前線(3/4 ページ)
東日本大震災の約1カ月前に発生したクライストチャーチ大地震。震災から5年を経たクライストチャーチの中心市街地は、新しい都市へと生まれ変わりつつあるようだ。
起業家を育む「ミニストリー・オブ・オーサム」
震災後、クライストチャーチでは自ら事業を始める若者が増えたという。「ミニストリー・オブ・オーサム(Ministry of Awesome)」はこうした起業家の支援に取り組む非営利組織だ。「素晴らしい省」と直訳されるこの組織だが、行政機関ではない。3人の女性常勤スタッフが起業家たちのネットワーキングイベントやシェアオフィスなどさまざまなサービスを提供している。
スタッフのひとり、エリカ・オースティンは創業の経緯をこう語った。「アイデアを形に変えていくうえで最も大切なのは誰かに話を聞いてもらい、共感してもらうこと。震災後に多くの人たちが自分で何かを始めようとしていた。そこでネットワーキングイベントを始めたのが始まり」
ギャップ・フィラーと同様、彼女たちもポジティブな場をプロデュースするのがうまい。これまでに150回以上開催しているというネットワーキングイベント、コーヒー&ジャム(Coffee & Jam)では、平日のランチタイムに50人ほどの参加者が集まっていた。リラックスした雰囲気の中、コーヒーを片手にパンをかじりつつ事業アイデアについて議論したり、スタッフ募集をしたりする姿が見られた。その場にいた起業家のひとりは、「ここに来ると、ほしいサポートや人がすぐに見つかる。それに1人じゃないと感じられるから、気分が落ち込んだときにやってくるんだ」と語っていた。
関連記事
- 日本人のここがズレている! このままでは「観光立国」になれません
「訪日客が1300万人を突破」といったニュースを目にすると、「日本は観光立国になったなあ」と思われる人もいるだろうが、本当にそうなのか。文化財を修繕する小西美術工藝社のアトキンソン社長は「日本は『観光後進国』だ」と指摘する。その意味とは……。 - 財政破たんから3年、デトロイト再生に取り組む起業家は何をしているのか
かつて世界最大の工業都市として繁栄を謳歌した米国ミシガン州デトロイト。自動車産業の凋落とともに急激な人口減少と治安の悪化に見舞われた同市では、再生のためのさまざまな取り組みが進められている。 - 財政破たんから3年、デトロイト再生に取り組む起業家は何をしているのか
かつて世界最大の工業都市として繁栄を謳歌した米国ミシガン州デトロイト。自動車産業の凋落とともに急激な人口減少と治安の悪化に見舞われた同市では、再生のためのさまざまな取り組みが進められている。 - ハリケーンの被害から10年、ニューオリンズはどのようにして「再生」したのか
ジャズ発祥の地として名高いニューオーリンズ。米国ルイジアナ州最大の都市に2005年、ハリケーン・カトリーナが襲った。10年が経った今、現地はどのようにして「再生」したのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.