上場企業の不適切会計、過去最多 「業績至上主義」がプレッシャーに
東京商工リサーチは、2015年度に「不適切な会計・経理」を開示した上場企業が過去最多を記録したと発表した。
東京商工リサーチは4月14日、2015年度に不適切な会計・経理を開示した上場企業は58社・58件に上り、2007年4月の調査開始以来、過去最多だったと発表した。
不適切な会計・経理を開示した企業の半数(29社)が東証1部だった。発生当事者別では「子会社・関連会社」が26社(44.8%)と、前年度(16社)から10社増えた。「監査の目が行き届きにくい子会社・関係会社で、コンプライアンスが徹底されにくいケースが露呈した」(同社)と指摘している。
不適切会計の内容(動機)別では、「利益水増し」「費用支払いの先送り」「代理店への押込み販売」「損失隠し」など、業績や営業ノルマ達成を目的とした事実上の「粉飾」が22社(37.9%)で最多だった。次いで、経理ミスなどの「誤り」が20社(34.4%)、会社資金の「着服」が14社(24.1%)だった。
東京商工リサーチによると、子会社が当事者のケースでは、親会社向けに業績や予算達成を偽装した不適切会計が多かったという。また、役員らが関与した役員への不正な利益供与や、元従業員による会社資金の着服・横領など「コンプライアンス意識の欠落した事例もあった」という。
産業別では、製造業が21社(36.2%)で最多。卸売業が11社(18.9%)、小売業が9社(同15.5%)、サービス業が8社(同13.7%)だった。
同社は「東芝を含めて、国際的な競争のなかで業績至上主義が跋扈(ばっこ)すると、営業現場には過大なプレッシャーがかかり、個人だけでなく、時には組織ぐるみで不適切会計や不正会計に走ることを示している」と警鐘を鳴らしている。
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