コラム
高齢者と若者の「困った」を解決する、シェアハウスのカタチ:マネーの達人(1/3 ページ)
高齢者の住居に学生が同居するホームシェアがあります。高齢者と学生のホームシェアには、どんなメリットがあるのでしょうか。
日本の大きな社会問題である少子高齢化。
「子どもを育てにくい」「高齢者へのケアが行き届かない」。日本の福祉対策は問題が山積する中、高齢者の独り暮らしによるトラブルを軽減できるある取り組みが注目されています。
その取り組みを始めたのはフランス。きっかけは2003年の猛暑、フランス全土で1万5000人の人が亡くなり、その多くが独り暮らしの高齢者だったのです。
フランスのホームシェア
高齢者の住居に学生が同居するホームシェア。高齢者と学生のホームシェアには、どんなメリットがあるのでしょうか。
- シニアの孤立化や孤独死などを防ぐ
- 学生の生活費、保護者の仕送りなどの負担を軽減できる
- 行政の見守り対策のコスト削減
- 地域の高齢化を防ぐ
当事者同士だけではなく、行政にもプラスの効果をもたらす作用があるのです。フランスのシステムはNPOが仲介し、以下の順序でホームシェアへとつなげていきます。
登録料の支払い
↓
趣味、嗜好、ポリシーなどを事前調査
↓
NPOが間に入り、条件の合う人同士が複数回面接を重ねる
↓
マッチングに成功しホームシェアに至った場合、NPOに仲介料を支払う
また、ホームシェアにあたっての具体的な条件は以下になります。
- 家賃が無料:週6日一緒の夕食と夜間在宅
- 家賃が格安:週1日一緒の夕食と夜間在宅。買い物支援などの追加条項の契約が可能
- 家賃が下宿と同等:部屋のみ提供。一緒の食事、夜間在宅の条件なし
NPOの担当者が定期的に訪れ、双方の状態や意見をチェックします。契約を破るとホームシェアが解約となる場合もあります。
関連記事
- 47.1%が「現代は無縁社会」と感じている
核家族化や単身世帯の増加などによって、地域や家族間のつながりが希薄になりつつあると言われている。孤独死なども増え、社会問題化している「無縁社会」について、家庭を持たない男女はどう感じているのだろうか。オウチーノ総研調べ。 - 「ソーシャルアパート」に体験居住したい――20代女性の41.6%
家族や友人との同居ではなく、他人とのつながりを持ちながら住む「ソーシャルアパートメント」。賃貸マンションなどに共用施設が加えられ、そこをシェアすることができる形態だが、体験居住を希望している人はどのくらいいるのだろうか。セルコホーム調べ。 - 若者の間で広がる、シェアハウスの魅力とは
若者の間で「シェアハウス」の人気が高まっている。近所付き合いが希薄化する中、なぜ若者は共同生活を求めるのだろうか。シェアハウスの魅力などに迫ってみた。 - 高齢者の暮らしの問題は「家」なんじゃないか
要介護者対象の老人ホームやサービス付き高齢者住宅などの「施設」に対して、税金をつぎこみ続けても問題はいっこうに解決には向かわない。 - なぜ「孤独死」が増えているのか? 減らす方法はある
近ごろよく報道される「孤独死」。元タレントの山口美江さんなど有名人もそのような最期を迎えた。だが、この問題を10年近く取材している筆者に言わせると、やはりここにも「裏」があるようだ。
関連リンク
copyright (c) "money no tatsujin" All rights reserved.