なぜ三菱自動車は不正に走ったのか 「技術屋の頑固さ」が落とし穴:スピン経済の歩き方(5/5 ページ)
三菱自動車が燃費データ不正問題で大きく揺れている。経営陣が積極的に情報を開示しないので、マスコミ各社はそのスタンスを痛烈に批判しているが、筆者の窪田氏は違うポイントに注目している。それは……。
頑固な技術屋が陥る「落とし穴」
なぜ「徹底的なセクショナリズム」が蔓延(まんえん)するのかといえば、「個」が腕に覚えがあるからだ。他人の仕事に口出しをしない。その代わり、オレたちのやり方にも口を出すな――。そんな「頑固な技術屋魂」が、「ミスを上に報告しずらい空気」を生み、「報告できないミスを隠蔽してしまえ」という不正につながった可能性はないか。
「技術」こそが社会の発展を支えてきたという考えが強い日本では、「職人」というだけでなにやら聖人君子のようにあがめたたられることが多い。頑固だが、自分たちの技術に誇りをもっているので、とにかく「不正」などに手を染めるわけがない、と思われている。
個人的には「果たして、そうなのか」と首をかしげる。「頑固な技術屋」だからこそ、柔軟な対応ができず「自分の欲しい答え」がどうやってもでないときに「不正」に走ってしまうのではないのか。
第三者調査委員会が真相をすべてつまびらかにすることを期待したい。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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