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「近い将来に実現する」自動運転時代のコックピットとは?人とくるまのテクノロジー展

自動車の技術展「人とくるまのテクノロジー展 2016」では、“近未来”のコックピットを展示している企業ブースに、デモを体験しようと多くの人が集まった。デンソーなどが考える、自動運転時代のコックピットとは?

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 自動車の最新技術を展示する「人とくるまのテクノロジー展 2016」(5月27日まで、パシフィコ横浜)が5月25日に開幕した。国内外の自動車メーカーや部品メーカーなど538社が出展し、最新の技術や製品が集まっている。

 会場では“近未来”のコックピットを展示している企業ブースに、デモを体験しようと多くの人が集まる様子が目立った。

 部品メーカーのデンソーは、自動運転の実用化を見据えた仕様の次世代コックピット「ハーモニアス・コミュニケーション・コックピット」を披露。センシング技術を活用した予防安全システムで障害物を検知し、車線変更、高速道路での合流、駐車場での出庫を支援してくれるという。

photo 「ハーモニアス・コミュニケーション・コックピット」

 ハンドルに設置されたボタンで車線変更の意思を伝えると、センサーが障害物接近の有無などを検知し、車線変更の適切なタイミングを判断して自動で移動してくれる。移動する際は、ブレーキペダルの左側に設置されたフットレストが移動方向に傾くほか、フロントガラス上に情報を表示するヘッドアップディスプレイに矢印が表示され、ドライバーへ事前告知する。

 高速道路への合流や駐車場から出庫する際も、同様に適切なタイミングでの移動をサポートしてくれるので、ドライバーが目視で確認する負担が軽減されるという。「車線変更、高速道路への合流、駐車場からの出庫は、事故が発生しやすいポイントであり、多くのドライバーが不安に感じている。機械が判断してくれることで運転がだいぶ楽になる」(同社)。

 また、ハンドルの近くに設置されたカメラがドライバーの顔を認識し、わき見や眠気などを検出して注意喚起する機能も搭載。運転中の姿勢などからドライバーの健康上の異変を検出すると、自動運転で安全なエリアまで退避すると同時に救急車を呼ぶ機能まで備える。

photo 運転中の姿勢などから、ドライバー異常を検出する
photo 自動運転に切り替わり安全なエリアまで誘導

 同システムは、運転の全てが自動化される「完全自動走行」が普及する手前の「準自動走行」(緊急時やドライバーの要請に応じて一部を自動化する)段階での活用が見込まれるとして、昨年から各自動車メーカーに提案しているという。

 部品メーカーのカルソニックカンセイも準自動走行に標準を合わせたコックピット「ヒューマンマックスコックピット」を展示。サイドミラーやバックミラーでは分からない死角を360度センサーでサポートする「エックスアイ」と、視線移動による事故リスクを減らす「エックスハンド」のシステムをアピールした。

 障害物が接近した際に警告してくれるほか、正面に設置されたモニターから障害物の位置を確認することができる。「エックスアイはドライバーの第2の目。障害物との距離感を瞬時に理解できるところがポイント」(同社)。

photo 「ヒューマンマックスコックピット」

 「エックスハンド」では、ラジオ、エアコン、オーディオなどの操作を正面に設置したモニターを見ながら行える。操作するタッチパネル自体は座席の横にあるが、正面モニターと連動することで視線移動を極力軽減させる。

 「運転中の視線移動は交通事故を減らす上で大きな課題の1つだった。さまざまな操作を正面モニターで完結できるように工夫した」(同社)

photo エックスアイ。障害物の位置が一目で分かる
photo エックスハンド。前方から視線をそらさずに操作を行える

 タッチパネル上で親指と人差し指の間隔を広げたり縮めたりする「ピンチイン&アウト」で車間距離を調節することができるなど、「直観的に操作できるインタフェースを目指した」という。

 同社は「完全自動運転車の普及にはまだ少し時間がかかる。また、それが実現したあとも運転ドライブ自体を楽しみたい人も多いだろう。そうした層には、こうした運転支援系の技術が必要となる」として2〜3年後の実用化を目指す。

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