発売3年で売上2.5倍! アイス「パキシエル」の開発秘話を聞いてきた:水曜インタビュー劇場(パキッ公演)(2/6 ページ)
マルチパックのアイス「パキシエル」の売り上げが好調だ。発売してから3年で、2.5倍に拡大。「超激戦」とも言われているアイス市場で、なぜパキシエルは売れているのか。森永製菓の開発担当者に話を聞いた。
板チョコアイスのような食感
土肥: パキシエルの最大の特徴は、何と言っても「一口目のインパクト」。見た目は普通のチョコレートアイスなのに、パキパキした食感を味わうことができる。どのような経緯で、この商品は誕生したのでしょうか?
森永(川崎さん、山本さん): 以前「濃厚チョコレートバー」を発売していたのですが、売り上げが伸び悩んでいました。なぜか。マルチパックのコーナーには、たくさんの商品が並んでいますよね。チョコ系だけでも生チョコだったり、なめらかなチョコだったり、二層チョコだったり。濃厚チョコレートバーは突出した強みがなかったので、このままではジリ貧になるかもしれない。そういった事情があったので、2011年に「新商品を開発しよー」となりました。
新しい商品を開発することになったのですが、どんなモノをつくればいいのか決まっていませんでした。さまざまな人たちと議論した結果、マルチパック市場の中で「これまでになかった商品をつくろう」ということになりました。
土肥: 開発担当者はよく口にしますよね。「これまでにない新しいモノをつくろう」と。でも、それができれば誰も苦労しません。
森永: ですです。厚いチョコが柔らかいチョコを包むようなモノをつくったり、中にものすごく分厚いチョコを入れてみたり。いろいろ試してみたのですが、「どこかで食べたことがあるなあ」といったモノしかできませんでした。インパクトを出すにはどうすればいいのか。「ああでもない、こうでもない」と考えた結果、市場に「板チョコアイスのような食感を楽しめる商品がない」ことに気付き、そのような商品をつくることになりました。
土肥: ふむふむ。
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