コラム
三菱自の益子会長は正しい決断をした(2/4 ページ)
三菱自動車の燃費データの不正計測・公表問題をきっかけに、日産が三菱自へ第三者出資することで傘下に収めることになった。
今回の燃費不正問題が表面化してから三菱自の軽自動車販売実績はほぼ半減しているという。しかもその後、不正対象が日産との提携対象のeKシリーズばかりでなく、主力SUVなどにも広がっている(燃費データそのものの不正ではなく、測定方法を机上で行ったというものである)。三菱自の販売は今後数カ月でさらに下降する可能性が高い。
多分、益子会長は、今回が3度目の不正だということを冷静に勘案し、こうした世間からの厳しい反応を予想しただろう。彼は三菱商事出身なので、三菱自しか知らない社員より客観的なモノの見方ができるはずだ。また、社内調査の過程でいくつか社員の怪しい行動に関する情報もつかんだかもしれない。「騒動は拡がる」と考えたはずだ。
しかも対象の軽自動車を自社の販売網よりも多く売ってくれていたのは提携相手の日産だった。その日産が今回の不祥事でどう動くか。へたをすると三菱自との提携を解消したいと云って来るかもしれないと、益子会長は覚悟していたのではないか。
また一方で、前回のように三菱グループに全面的に支えてもらえない事態であることも冷静に判断していたはずだ。大株主3社のうち、三菱重工は客船事業が大幅納期遅れで巨額の赤字であり、益子会長の出身母体でもある三菱商事は、傾注してきた資源ビジネスの暗転により上場来初の赤字を計上したばかりだ。いずれも三菱自のことなど気に掛けていられない。
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