なぜ人は「マグロ」を食べても「サーモン」に感じるのか 大学教授が分析:水曜インタビュー劇場(パキッ公演)(6/7 ページ)
森永製菓のアイス「パキシエル」が売れている。売れている原因を科学的に分析したところ、話は思わぬ方向に進んでいき……。
写真によって人の味覚は“変わってしまう”
岡嶋: そのまさかなんですよね。赤身のマグロなのに、サーモンの写真を見せて食べてもらったところ「サーモンを食べた」と言うんですよ。赤身のマグロをトロに変えて「おいしいなあ」という人はいると思ったのですが、まさか種類の違うサーモンの写真を見て、それを食べて「サーモンだ」と思うはずがないと考えていました。
話はまだ続きます。「これは赤身のマグロだ」と伝えて、もう一度サーモンの写真を見ながら食べてもらったところ、「やっぱりサーモンですよ。サーモンの香りがしますから」と答えるんですよね。
もちろん、人によって感想は違います。サーモンの写真を見ても、「赤身のマグロ」と答える人はいるでしょう。ここで重要なことは、実験に参加された人は“騙された”ということではなく、写真によって人の味覚は“変わってしまう”可能性があるということです。
土肥: うーん、ちょっと信じられないです。『芸能人格付けチェック』という番組がありますが、その中で芸能人は目隠しをして食べ比べをしていますよね。もしこの番組の中で、赤身のマグロを食べて「サーモン」と答えたら、その人は「三流芸能人」になりますよ(笑)。
岡嶋: ちなみに実験に参加された方の中に、グルメレポーターの方がいました。
土肥: ははは。オチがいいですね。最後の質問です。このような実験を繰り返すことで、どういった未来が考えられるのでしょうか?
岡嶋: 自分の好きなモノをイメージして食べることができるようになるのではないでしょうか。例えば、赤身のマグロは嫌いでも、サーモンの写真を見せれば食べることができる。そうすると、好き嫌いを克服することができるようになるかもしれません。また、ダイエットなどにも使えるかもしれません。
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