売上過去最高! 知られざる「島村楽器」のルーツ:水曜インタビュー劇場(楽器公演)(1/7 ページ)
島村楽器が売り上げをグングン伸ばしている。ショッピングセンター内を歩いていると、同社の看板をよく目にするが、ルーツを知らない人も多いのでは? 島村楽器・広報課に話を聞いたところ、意外な事実が……。
ショッピングセンターの店内を歩いていると、楽器の音が聞こえてくるゾーンがある。小学生がピアノに向かって演奏していたり、中学生がギターを手にして流行りの曲を弾いていたり。店内にはさまざまな楽器が置いてあって、お客さんたちはその楽器を使って、自由に弾いている。「島村楽器」の日常風景だ。
その昔、多くの楽器店では暗い雰囲気が漂っていた。店内に入ろうと思っても重い扉(防音対策だと思うが)を開けなければいけないので、少々の勇気が必要だった。次に、ピアノをちょっと弾いてみたいと思っても、店員さんに「あの……ちょっと、いいでしょうか? (汗)」といった感じで、頭を下げなければいけなかった。しかし、島村楽器は違う。高級楽器はショーケースの中などに入っているが、多くの楽器は気軽に触れることができる。また、店員さんにおうかがいをたてなくても自由に曲を演奏することができるので、初心者でも「ねこふんじゃった」を弾くことができるのだ(堂々と)。
そんな島村楽器の業績を調べてみると、好調である。
「少子化で楽器を使う層が減っているんだから、業績は厳しいでしょ」と思われたかもしれないが、売り上げはグングン伸びているのだ。2015年度(16年2月期)の売上高をみると、前期比5%増の332億円で過去最高。年間5店舗のペースで約10年にわたり出店を続け、全国160店舗まで拡大しているのだ。楽器小売店の大手といえば、新星堂、山野楽器、石橋楽器などの名前を挙げることができるが、「楽器販売に限定すれば、島村楽器がナンバー1企業」(『島村楽器 エンジョイミュージックライフの経営』)である。
繰り返すが、いまの日本は少子高齢化である。さらに、娯楽も多様化が広がっている。事実、楽器市場は縮小傾向にある。そんな“氷河期”ともいえる状況なのに、なぜ島村楽器は業績を伸ばし続けているのだろうか。その謎を解くために、同社・広報課の伊地正治さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
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