売上過去最高! 知られざる「島村楽器」のルーツ:水曜インタビュー劇場(楽器公演)(4/7 ページ)
島村楽器が売り上げをグングン伸ばしている。ショッピングセンター内を歩いていると、同社の看板をよく目にするが、ルーツを知らない人も多いのでは? 島村楽器・広報課に話を聞いたところ、意外な事実が……。
モノの前にコトを売る
伊地: はっきりとした数字は残っていないのですが、1982年に当時のジャスコ葛西店(現在はイオン葛西店)に、出店することになりました。それまではいわゆる路面店が多かったのですが、徐々にショッピングセンターを中心に店舗を構えるようになりました。
土肥: つまり、店舗形態が変化していくことで、ローリング活動も縮小していったというわけですか?
伊地: はい。
土肥: 80年代前半から“脱路面店”が加速し、その一方でいまのような形……つまりショッピングセンターの中に店を構えていくようになるわけですよね。
伊地: ジャスコ葛西店の売場面積は60平方メートルほどしかありませんでした。そこにギターやドラムス、パーカッションなどを並べていたんですよね。少し離れたところに音楽教室とレコーディングスタジオがあって、そこの広さは162平方メートル。楽器を売りたいので、楽器のスペースを広くして、教室は狭く……ということもできたのですが、そうしませんでした。なぜか。当社は音楽教室からスタートしているので、経営理念として「モノの前にコトを売る」があるんですよね。というわけで、店内にはあまり楽器を置かずに、教室やスタジオなど、お客さまに音楽を楽しんでもらう空間を広くとりました。
そうした店舗を出店したところ、当時・ジャスコの岡田卓也社長(現在はイオンの名誉会長)に「この店は面白い」「これから伸びるぞ」と言っていただき、その後、ショッピングセンターがオープンするたびにお声をかけていただくようになりました。
土肥: なるほど。当時、どのような楽器が売れていたのでしょうか?
伊地: 80年代はピアノもよく売れていましたが、バンドブームもありましたので、エレキギターやドラムスもよく売れていました。1989年に『三宅裕司のいかすバンド天国』(TBS)が放送されたこともって、90年代前半バンドブームがピークを迎えたのではないでしょうか。エレキギターなどがよく売れました。
ただ、ブームが去ってからは厳しい時代に突入しまして。2009年に、アニメ『けいおん!』(TBS)が放送されたこともあって、ややバンドブームが盛り上がったものの、その後はまた厳しい状況が続きました。
土肥: ということは、違う楽器が売れている?
関連記事
- 生産中止! 大苦戦していたブラックサンダーが、なぜ“売れ続けて”いるのか
30円のブラックサンダーを食べたことがある人も多いはず。年間1億個以上も売れているヒット商品だが、発売当初は全く売れなかった。一度は生産中止に追い込まれたのに、なぜ“国民の駄菓子”にまで成長することができたのか。 - 眼鏡がいらなくなる? 世界初の「ピンホールコンタクトレンズ」にびっくり
近視や老眼をコンタクトレンズ1枚でカバーできる「ピンホールコンタクトレンズ」をご存じだろうか。現在、臨床研究を進めていて、2017年度中の商品化を目指しているという。どのような原理でできているかというと……。 - 累計260万丁! 工具「ネジザウルス」がバカ売れした理由
これまで“絶対にはずせない”と思われてきたネジを、“絶対にはずす”工具「ネジザウルス」(運営:エンジニア)をご存じだろうか。工具は年間1万丁売れれば大ヒットと言われている中、ネジザウルスは累計260万丁も販売。消費者の心を“つかんだ”理由について、同社の高崎社長に聞いた。 - 日本人のここがズレている! このままでは「観光立国」になれません
「訪日客が1300万人を突破」といったニュースを目にすると、「日本は観光立国になったなあ」と思われる人もいるだろうが、本当にそうなのか。文化財を修繕する小西美術工藝社のアトキンソン社長は「日本は『観光後進国』だ」と指摘する。その意味とは……。 - 飛行機に“最後に乗る”のはどんな人か 羽田空港を分析
飛行機に乗るとき「できれば早く乗りたい」という人もいれば、「できれば最後に乗りたい」という人もいる。搭乗口で最後に手続きを済ませているのはどのような人なのか。羽田空港で飛行機の遅延分析をされている、JALの担当者に話を聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.