イチローが「日本人のアイデンティティー」にこだわる理由:赤坂8丁目発 スポーツ246(4/4 ページ)
マーリンズのイチロー外野手が「日米通算」でピート・ローズ氏の持つ歴代最多安打4256本の記録を塗り替えようとしている。2001年から大リーグでプレーし、数々の記録を塗り替えてきたイチローのモチベーションはどこにあるのか。
「日本プロ野球のスゴさ」を植え付けたイチローの功績
6月12日(日本時間6月13日)に「イチロー特集」を放送した米スポーツ専門局「ESPN」のインタビューで、一昨年までイチローとチームメートだった元ニューヨーク・ヤンキースのデレク・ジーター氏はこのように語った。
「イチローは性格的に何も言わないが『自分が日本人に対する見方を変える』という強い意識を持って常にグラウンドに立っているのは事実だよ。彼がよく身内に対して口にする言葉に『ジャパニーズ・アイデンティティ』というものがある。自分が日本人であることに誇りを持っている何よりの証拠と言えるよね。これは半分ジョークみたいな話かもしれないけれど……。
イチローは今もシーズン中、ほとんど白髪を染めようとしないだろう? 以前『あれはどうしてなんだ?』と聞いたら、彼が『ジャパニーズ・アイデンティティさ』とサラリと答えて思わずニヤリとしてしまったことがあったよ。真の日本人は格好つけることなく等身大の自分で生き続け、勝負に臨む。そういうことをイチローは言いたかったんじゃないのかな。少なくとも自分はそう感じたね」
ジーターは論争が沸き起こっている「日米通算安打数」についても釘を刺すように同局のインタビューの中で次のような持論を述べた。
「一番大事なのはイチローが40歳をとうに過ぎた現在もメジャーリーグに革命を起こし続けているということだ。彼のような誰もが認めるスーパースターを輩出した日本プロ野球がレベルが低いなんて思うはずがない。ヒデキ・マツイ(松井秀喜氏)やヒデオ・ノモ(野茂英雄氏)、ユウ・ダルビッシュ(ダルビッシュ有)、コウジ・ウエハラ(上原浩治)……。
イチローだけでなく、大勢のスーパープレーヤーがメジャーリーグで昨今プレーしている。その彼らの“母体”となった日本プロ野球で築き上げたイチローの素晴らしい記録を『無』にすることは愚の骨頂だ。日米通算安打の記録はシンプルに評価するべきだと思う。日本プロ野球のレベルが低いと見る風潮はオールドタイマー(時代遅れの人)たちの論調だろう」
あの偉大なジーターが、こう言い切ったのだ。米球界にも非常に強い影響力を持つ元スーパースターにも「日本プロ野球のスゴさ」を植え付けたイチローの功績はとてつもなく大きい。日本人の誇りを持ちながらメジャーリーグの歴史を変えるべく、これからも奮闘し続けるレジェンドの活躍をしっかりと目に焼き付けたい。
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