三菱東京UFJ銀行が、もう国債を買わないって本当?:マネーの達人(5/5 ページ)
三菱東京UFJ銀行が「国債市場特別参加者資格」を国に返上しました。今回はその資格と、それを返上することで国債に与える影響についてお話しします。
日本国債の将来は……
かつて、銀行は黒田日銀総裁の量的緩和政策に対して、今後の国債の行方を懸念して、長期国債を短期国債に入れ替えてきています。同じ国債を引き受けるにも、短期国債がいいということです。銀行は決して自らリスクをとらないところです。私は、個人向け国債はどうも手は出せません。
いずれ日本国債の格下げがテーマとなってきます。いまのところ、格付け会社は静観の構えのようですが、アベノミクス第三の矢である成長線戦略が頓挫すれば、財政出動に頼る政策だと、いずれ格下げは議論されると思われます。消費税率引き上げ再延期に関して、即座に格付け会社は動きませんでしたが、成長戦略の行方次第では日本国債格下げは十分に考えられます。
しかし、こんなに買い込んだ日本国債を、日銀はどう処理するのでしょう。市場に返したら国債大暴落、まさに日本沈没のシナリオになってしまいます。
国債は国の借金証書です。民間に渡した借金の証文を日銀が買い戻し、その結果として国の民間金融機関への借金がなくなるということになっています。全て、自分たちのなかでお金を刷って借金を膨らませ、それを日銀が回収しているだけです。よく考えると、これはおそろしいことです。本当にこの国は大丈夫なのでしょうか?
今回のニュースはすぐにどうこうという話ではありませんが、日本の将来に何かとんでもないことが待ち構えている警鐘のような気がしてなりません。
私は、自分のセミナーで、いつもこう締めくくっています。「これからは、日本という国と心中するか、それとも真の意味で独立するか――いずれ近いうちに、その選択が迫られる日がやってくる」と。
今回の問題、読者のみなさんはどうお考えになりますか。(原彰宏)
著者プロフィール:
原彰宏
株式会社アイウイッシュ 代表取締役
関西学院大学卒業。大阪府生。吉富製薬株式会社(現田辺三菱製薬株式会社)、JTB日本交通公社(現(株)ジェイティービー)を経て独立。独学でCFP取得。現在独立系FPと して活動。異業種経験から、総合的に経済、企業をウォッチ、金融出身でないことを武器に「平易で」「わかりやすい」言葉で解説、をモットーにラジオ出演、 セミナーや相談業務、企業労組の顧問としての年金制度相談、組合員個別相談、個人の年金運用アドバイスなどを実施。個人投資家として、株式投資やFX投資を行っている。
保有資格:一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP
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