視聴率低迷に苦しむフジテレビが、「討論番組」に活路を見いだしている理由:スピン経済の歩き方(2/4 ページ)
視聴率低迷にあえぐフジテレビが、「討論」に活路を見いだしている。なかなか方向性が定まらない昼の帯番組『バイキング』はこの4月から、「生ホンネトークバラエティ」というコンセプトを掲げている。なぜこのタイミングで、フジは「討論番組」にチカラを入れているのか。
討論は数字のとれるキラーコンテンツ
「討論推し」に舵(かじ)を切らなくてはいけない理由もある。在京民放キー局の2015年3月期決算の中で、フジテレビは唯一の減収減益。グループ的には、通販事業やグランビスタなどホテル事業が数字を叩き出しているものの、テレビ事業の滑落ぶりはもはや危険水域と言っても差し支えなく、視聴率獲得の切り札を喉から手が出るほど欲しい。
「討論ってそんなに視聴率がとれるの?」と首をかしげる方も多いかもしれないが、昨年あたりから世界のメディアトレンド的に、「異なる立場の者同士が意見をぶつける」というのは数字のとれるキラーコンテンツとなっているのだ。
例えば、米国のテレビが分かりやすい。
3月上旬、米国のニュース専門局FOXニュース・チャンネル(FNC)は7週間連続で全日視聴率ナンバーワンの座に輝くという前代未聞の記録を打ち立てた。ニュース専門局だけではなく、全ケーブル局の中でトップである。
理由はもうお分かりだろう。ドナルド・トランプ氏だ。「メキシコ国境に壁をつくれ」などの過激な主張や、相手候補をメッタ斬りする攻撃的な討論スタイルに、視聴者がテレビの前に釘づけになっていたのだ。
もちろん、FNCだけではない。昨年9月16日の共和党候補による第2回討論会を放映したCNNの平均視聴者数は2294万人。2008年に行われたオバマとヒラリー・クリントンの討論で記録した832万人をトリプルスコアに迫る勢いで、これはCNN開局以来の最高記録となったという。
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