セブンのドミナント戦略が、沖縄では通用しない理由:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
セブン-イレブンが2〜3年以内に沖縄へ出店するという。沖縄は“空白の地”なので、地元住民にとっては待ちに待った出店だろう。しかし、である。筆者の窪田氏によると、セブンにはイバラの道が待っているという。なぜなら……。
沖縄のドミナント戦略
沖縄県民から圧倒的な支持をうけるポイントを、リウボウグループとしても活用しないわけがない。昨年5月から百貨店「リウボウ」、スーパー「リウボウストア」などのグループ全店でTポイントの付与を開始した。
サンエーもしかりだ。もともとサンエーグループには、スーパーだけではなくフランチャイズ店舗でポイントが貯められる「サンエーカード」というものがあり、県内では100万人にも届くかという高い保有率を誇っていたのだが、そこへさらに昨年11月から、「楽天Edy」のポイントも貯まる「サンエーEdyカード」としてリニューアルを果たしている。
「楽天Edy」はTポイントカード同様に沖縄の普及率は他都道府県と比較してずば抜けて高いからだ。背景には、ANAと提携したマイル付与で利用客を伸ばしたということがあるらしい。いずれにせよ、人気電子マネーの機能を加えたことで、鬼に金棒。「サンエーファミリー」の顧客拡大が期待されているのだ。
つまり、「沖縄流ドミナント戦略」というのは、沖縄県民の生活に欠かすことのできない「ポイントカード」を武器に、百貨店、スーパー、コンビニはもちろん、レストラン、家電量販店、ドラッグストア、TSUTAYAなどさまざまな接点を利用し、商圏内の顧客を囲い込んでいくことでもあるのだ。
もし仮にセブン-イレブンが沖縄県内に一気に100店オープンをしたところで、この「ポイントカード商圏」を切り崩すことは至難の業だろう。
沖縄にはセブン-イレブンはおろか、グループ企業はまったく出店していない。イトーヨーカドーの最西端は広島。デニーズも兵庫から西には出店していない。だから沖縄の人に、「nanacoでポイント2倍」とか言っても、「ハア?」という感じなのだ。
こういう周回遅れの状況にも関わらず、大物気取りで沖縄入りをしても、最初は「本土のコンビニ」というもの珍しさで客が集まっても、地元のコンビニとして根付くことなく、苦しい戦いを強いられるのではないかと思う。
過去にそういう前例もあるからだ。
関連記事
- なぜセブン-イレブンは“王者”であり続けるのか
セブン-イレブンの快進撃が止まらない。2014年4月に消費税が増税され、他のコンビニが苦戦する中、セブンは売り上げを伸ばした。セブンカフェやセブンプレミアムなど、なぜヒット商品を生み出すことができるのか。現役コンビニオーナーの川乃もりやさんに話を聞いた。 - 舛添さんが「公明党」に見捨てられた、本当の理由
サンドバック状態だった舛添要一都知事が、ついに辞表を提出した。メディアや議会からの追及に対して、馬の耳に念仏といった感じで受け流していたのに、なぜ急に心がポキンと折れてしまったのか。 - 「石原さとみの眉が細くなったら日本は危ない」は本当か
女優・石原さとみさんの眉がどんどん細くなっている。彼女のファンからは「そんなのどーでもいいことでしょ」といった声が飛んできそうだが、筆者の窪田さんは「日本経済にとって深刻な事態」という。なぜなら……。 - 「着物業界」が衰退したのはなぜか? 「伝統と書いてボッタクリと読む」世界
訪日観光客の間で「着物」がブームとなっている。売り上げが低迷している着物業界にとっては千載一遇かもしれないが、浮かれていられない「不都合な真実」があるのではないだろうか。それは……。 - 「日本は世界で人気」なのに、外国人観光客数ランキングが「26位」の理由
日本政府観光局によると、2014年に日本を訪れた外国人観光客は2年連続で過去最高を更新した。テレビを見ると「日本はスゴい」などと報じているが、国別ランキングをみると、日本は「26位」。なぜ外国人たちは日本に訪れないのか。その理由は……。 - 「LEDよりも省エネで明るい」という次世代照明がなかなかブレイクしない理由
「CCFL(冷陰極管)」という照明をご存じだろうか。LED照明にも負けない省エネで低価格な製品だが、筆者の窪田氏は爆発的な普及は難しいという。なぜなら……。 - ファミレスでタダでバラまく新聞が、「軽減税率適用」を求める理由
ホテルやファミレスなどで新聞が無料で配られているのにも関わらず、読んだことがない人も多いのでは。大量の新聞紙が「刷られて、運ばれて、廃棄されて」いるわけだが、筆者の窪田氏はあることにスッキリしないという。それは……。 - なぜ日本人はウイスキーを「水割り」で飲むのか?
ドラマ『マッサン』効果でウイスキー市場が盛り上がっている。各社の売り上げが伸びている一方で、気になることも。それは「水割り」。海外の人たちは「ストレート」や「ロック」で飲んでいるのに、なぜ日本人の多くは水割りを好むのか。その理由は……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.