セブンのドミナント戦略が、沖縄では通用しない理由:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
セブン-イレブンが2〜3年以内に沖縄へ出店するという。沖縄は“空白の地”なので、地元住民にとっては待ちに待った出店だろう。しかし、である。筆者の窪田氏によると、セブンにはイバラの道が待っているという。なぜなら……。
ファミリーマートとローソンに共通する点
この2つの沖縄企業に共通しているのは、セブン顔負けの「ドミナント戦略」でその勢力を拡大してきた点にある。
例えば、サンエーは県内で小売店舗66、外食レストラン14を運営しており、そこには東急ハンズ、無印良品、ジョイフル、タリーズ、ピザハット、マツモトキヨシ、家電量販店のエディオンなど、大手チェーンとフランチャイズ契約を結んだものも多く含まれる。
錚々(そうそう)たる企業がパートナーに選ぶのは、「スーパーサンエー」が全国の中でもトップクラスの高い利益率を誇り、「勢いのあるスーパー」として店舗を拡大してきた「実績」によるところが大きい。
沖縄の消費者が何を求め、どう動くのかを知り尽くしたうえで商圏内の勢力を塗り替える。つまり、「沖縄流ドミナント戦略」を体現してきた企業なのだ。それは同社のWebサイトに誇らしげに語られるこの一言からもうかがえる。
『本土の市場環境とは一線を画す沖縄の市場。そのような文化的背景や地理的要因を考えた上で、独自のドミナント戦略を確立させています』(サンエー公式Webサイト)
では、「沖縄独自のドミナント戦略」とはなんだろうか。
もちろん、部外者に簡単に分かるものではないがゆえに「独自」なのだが、それを読み解くヒントのひとつに「ポイントカード」がある。
実は、沖縄はTポイントカードが非常によく普及している。2015年1月現在のデータだが、県内会員は78万人。県民の55.1%の所有率ということで全国でも五指に入るほどだという。TSUTAYAが際立って多く乱立しているというわけでもないのに、なぜ沖縄の人はここまでTポイント好きなのか。
もうお分かりだろう、ファミリーマートの影響だ。
「沖縄のコンビニ」として日常生活に根付いていることが、日本有数のTポイント先進国をつくったのではないかと言われているのだ。事実、ファミリーマートで展開する「ファミマTカード」の沖縄の保有率は全国一となっている。
関連記事
- なぜセブン-イレブンは“王者”であり続けるのか
セブン-イレブンの快進撃が止まらない。2014年4月に消費税が増税され、他のコンビニが苦戦する中、セブンは売り上げを伸ばした。セブンカフェやセブンプレミアムなど、なぜヒット商品を生み出すことができるのか。現役コンビニオーナーの川乃もりやさんに話を聞いた。 - 舛添さんが「公明党」に見捨てられた、本当の理由
サンドバック状態だった舛添要一都知事が、ついに辞表を提出した。メディアや議会からの追及に対して、馬の耳に念仏といった感じで受け流していたのに、なぜ急に心がポキンと折れてしまったのか。 - 「石原さとみの眉が細くなったら日本は危ない」は本当か
女優・石原さとみさんの眉がどんどん細くなっている。彼女のファンからは「そんなのどーでもいいことでしょ」といった声が飛んできそうだが、筆者の窪田さんは「日本経済にとって深刻な事態」という。なぜなら……。 - 「着物業界」が衰退したのはなぜか? 「伝統と書いてボッタクリと読む」世界
訪日観光客の間で「着物」がブームとなっている。売り上げが低迷している着物業界にとっては千載一遇かもしれないが、浮かれていられない「不都合な真実」があるのではないだろうか。それは……。 - 「日本は世界で人気」なのに、外国人観光客数ランキングが「26位」の理由
日本政府観光局によると、2014年に日本を訪れた外国人観光客は2年連続で過去最高を更新した。テレビを見ると「日本はスゴい」などと報じているが、国別ランキングをみると、日本は「26位」。なぜ外国人たちは日本に訪れないのか。その理由は……。 - 「LEDよりも省エネで明るい」という次世代照明がなかなかブレイクしない理由
「CCFL(冷陰極管)」という照明をご存じだろうか。LED照明にも負けない省エネで低価格な製品だが、筆者の窪田氏は爆発的な普及は難しいという。なぜなら……。 - ファミレスでタダでバラまく新聞が、「軽減税率適用」を求める理由
ホテルやファミレスなどで新聞が無料で配られているのにも関わらず、読んだことがない人も多いのでは。大量の新聞紙が「刷られて、運ばれて、廃棄されて」いるわけだが、筆者の窪田氏はあることにスッキリしないという。それは……。 - なぜ日本人はウイスキーを「水割り」で飲むのか?
ドラマ『マッサン』効果でウイスキー市場が盛り上がっている。各社の売り上げが伸びている一方で、気になることも。それは「水割り」。海外の人たちは「ストレート」や「ロック」で飲んでいるのに、なぜ日本人の多くは水割りを好むのか。その理由は……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.