なぜコンビニは、「ミスドの客」をたくさん奪うことができないのか:コンビニ探偵! 調査報告書(4/4 ページ)
コンビニドーナツ全体の雲行きが怪しくなってきた。発売時には「専門店のミスタードーナツを食ってやる!」という勢いだったが、今はそれが感じられない。今回は、ミスドの視点からコンビニドーナツについて考察してみよう。
コンビニのファストフードの多くは「ついで買い」
専門店には「コレを買うならあの店に行かなくちゃ」というように、遠くからでもお客を呼ぶ力がある。専門店が少ないアイテムで商売できる理由の1つに、「商圏が広がる」というのがある。
ところが、どこでも買える量販商品にはその力がない。ミスドの店舗数はコンビニよりは少ないものの、「おいしいドーナツが食べたいなあ」と思ったときに、消費者が近くにあるコンビニではなく、遠くにあるミスドを選択する可能性が高い。
これに対して、コンビニドーナツ買う人の多くは「カウンターで目についたとき」だ。もちろん、ドーナツに限らずコンビニのファストフードの多くは「ついで買い」を意識して販売しているが、この売り方だとファストフードの1カテゴリーにすぎない。あるいは、デザートか菓子パンのカテゴリーの1つとなる。
ミスドとの住み分けが加速すると、コンビニドーナツの売り上げは厳しくなるだろう。売れなければ売り場は縮小となり、縮小されればさらに売れなくなるという、悪循環に陥ってしまうのだ。
現在、コンビニにとってのドーナツは、コンビニコーヒーのついで買い商品と位置付けられているが、販売用の什器まで用意したドーナツをついで買いの1カテゴリーに収めてしまうと、他の商品に埋もれてしまう可能性は高い。
少し先の話になるが、秋というのは、甘いモノの売り上げを伸ばす季節だ。過去には、チョコレートの新商品だけでその季節を乗り切ったことがあるほど。この秋に、コンビニ各社はドーナツの展開をどう進めてくるのか――見どころの1つである。その結果、コンビニ各社のドーナツの位置付けがハッキリするだろう。
著者プロフィール・川乃もりや:
元コンビニ本部社員、元コンビニオーナーという異色の経歴を持つ。「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」を目の当たりにしてきた筆者が次に選んだ道は、他では見られないコンビニの表裏を書くこと。記事を書きながら、コンビニに関するコンサルティングをやっています。「コンビニ手稿」
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