鳥越俊太郎さんが「出馬はペンより強し」になった理由:スピン経済の歩き方(3/7 ページ)
ジャーナリストの鳥越俊太郎さんが東京都知事選に出馬した。「えっ、ジャーナリストが立候補!?」と思われたかもしれないが、報道に携わった人たちが立候補し、当選したケースは多い。「ジャーナリスト=権力を批判」というイメージが強いのに、なぜ彼らは立候補するのか。
ちょっと口説かれて権力側に転身する不思議
野党4党が鳥越さんを担いだ理由がなんとなくご理解いただけたと思うが、ここで新たな疑問が浮かぶのではないだろうか。
政党からすれば、選挙に勝つために、「ジャーナリスト」を擁立(ようりつ)したいというのはまあ分からんでない。しかし、言論で権力の不正を追及している側の人々が、ちょっと口説かれた程度で思いつきのように権力側に転身してしまうということにえもいわれぬ違和感を覚える方も多いはずだ。
事実、英国の公共放送局『BBC』や『ニューヨーク・タイムズ』のジャーナリストたちが「トランプ氏の暴走を止めるために立ち上がりました」「英国のEU離脱を阻止するため行動に出ます」なんて言って一斉に政界に転身した、なんて話をあまり耳にしない。
もちろん、世界を見渡せば、ジャーナリスト出身の政治家はいることはいる。例えば、パット・ブキャナン氏など有名だ。この人はテレビキャスターや、さまざまなメディアに関わった後、ニクソン、レーガンなど歴代大統領のシニアアドバイザーを務め、後に自身もアメリカ大統領選に出馬をした。
ただ、このブキャナン氏をみても分かるように、欧米では、政治家をやってシンクタンクやメディアなどの民間企業へ転職して、また何年かしたら政界に戻るなんていう、いわゆる「回転ドア」と呼ばれるワーキングスタイルがわりと多く、「ジャーナリスト出身政治家」も政界とメディアを往来しつつキャリアを積むのが一般的だ。
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