鳥越俊太郎さんが「出馬はペンより強し」になった理由:スピン経済の歩き方(7/7 ページ)
ジャーナリストの鳥越俊太郎さんが東京都知事選に出馬した。「えっ、ジャーナリストが立候補!?」と思われたかもしれないが、報道に携わった人たちが立候補し、当選したケースは多い。「ジャーナリスト=権力を批判」というイメージが強いのに、なぜ彼らは立候補するのか。
ジャーナリスト候補者が訴える「正義」
そんな「正義の人」が「女子大生淫行」などするわけがない、と信じたいが、この醜聞よりも驚いたのは鳥越さん側の対応だ。
報道によれば、弁護団は、公職法違反罪(選挙妨害)や名誉毀損で『文春』を刑事告訴するという。『サンデー毎日』の編集長までやられたジャーナリストが、古巣ともいうべき週刊誌を相手に「言論」ではなく、「法」という力をもってして屈服させる道を選んだのだ。
もともとジャーナリストでありながら、保険会社のCMに出演するなど「型破り」だったが、告訴が事実なら、鳥越さんは完全に「ペン」に見切りをつけたということなのか。
己に弓ひく者を「悪」と決めつけて力ではねのけようとする76歳の「元ジャーナリスト」。彼の「正義」をしっかりと検証してくれる本当の意味でのジャーナリストがどこかにいないものかと心から思う。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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