内定辞退を乗り切るための謝罪作法(1/3 ページ)
8月を迎え、内定を得た皆さんは入社先を決める時期になりました。それはすなわち、入社先以外の内定先を断ることです。今回は、内定辞退で起こりうるストーリーを考えてみましょう。
著者プロフィール:
増沢隆太(ますざわ・りゅうた)
RMロンドンパートナーズ(株式会社RML慶文堂)代表取締役。東京工業大学特任教授、コミュニケーション戦略家。人事コンサルタント兼大学キャリア教官兼心理カウンセラーで、東工大大学院では「コミュニケーション演習」の授業を行っているほか、企業では人材にも「戦略性」を重視する功利主義的アクティビティを提唱している。
内定(内々定)を得た現学部4年・修士2年の学生の皆さんは、8月を迎えていよいよ人生を決める時期になりました。内定先から入社先を決める決断をすることになります。それはすなわち、入社先以外の内定先を断ることであり、そうした内定辞退で起こるストーリーを考えてみましょう。この時期は、まだ内定が無いという相談以上に、内定辞退について筆者のところに相談に来る学生が多いのです。
1.就活都市伝説
今から30年以上前、バブル時代の就活の話です。ある有名企業に内定辞退を伝えに行ったところ、コーヒーをぶちまけられ、同時に1万円札を渡されたという伝説がありました(ラーメンだったりカレーの話もあり)。この話は筆者が学生時代から語り継がれる都市伝説ですが、いまだに語り継がれるくらい内定辞退は恐怖の対象といえるでしょう。
他にもえんえん説教くらったとか、交通費返還、損害賠償を請求されたなどの話もあります。こちらは伝説ではなく事実かも知れません。しかしそれがどの程度のものだったのかは当事者しか分かり得ません。怒られなれていない若者にとって、何より実体の分からない「怒りを浴びる」行為は恐怖なのだと思います。
都市伝説では口裂け女というものが40年以上前に流行りました。当時小学生はもし会った時に口裂け女が嫌がる(喜ぶ)角砂糖を持参して毎日学校に通ったと言われるほど、伝説、つまりはウソでも信じられたものでした。「コーヒー伝説」も同じです。要するに会社員として仕事をしたことがない学生や、年上の他人から怒られるという経験のない若者が、初めてぶつかる違和感が増幅し、正に伝説レベルまで変化したと考えられます。
これは文化人類学的な古代宗教や神話のソースと似ていて、人間の本能である未知への恐怖心が生み出しているとすれば、口裂け女伝説と同じようなものかも知れません。
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