内定辞退を乗り切るための謝罪作法(3/3 ページ)
8月を迎え、内定を得た皆さんは入社先を決める時期になりました。それはすなわち、入社先以外の内定先を断ることです。今回は、内定辞退で起こりうるストーリーを考えてみましょう。
4.内定辞退の手順
具体的手順としてはトラブル処理の鉄則、初期消火からです。つまり一番早く辞退の情報を届ける手段から始めます。それは電話でしょう。メールは即座に届いても、開封されなければ情報として伝達できたことにはなりません。まず電話をし、これまで採用でお世話になった窓口の方(多くは内定通知を送ってくれた人事部門の人)に伝えます。特定個人ではなく、「人事部」とか「人事課」「HRグループ」など部門で対応している場合は部門代表に電話することになります。
不在だった場合はかけ直しで良いですが、一度電話した後であればメールを送るのも悪くありません。メール本文にて、「先ほどお電話いたしました〇〇大学〇〇学部4年の〇〇ですが、まずは取り急ぎメールにて失礼させていただきます」と書いて、要件を伝えます。ただしメールを送った後も、しつこく相手が捕まるまで電話は続けることを忘れないでください。
今行っていることは、いたずらをして小学校の先生に怒られているのはありません。ビジネス交渉です。交渉から逃げるのではなく、会いづらい相手に、苦手な内容を伝えるという、非常に高度なコミュニケーションです。先方からメールで、「本件了解」という返事が来ない限りは、決してこちらから連絡をあきらめてはなりません。
さらに高度なテクニックとして、直接おわびに行くという手段もあります。いずれにしても、一度着手したら、結果を出すまで最後までやりぬいてください。仮に電話や面会で激しく怒られたとしても、先方はあなたを勝手に入社させることは不可能です。あなたの意思が決まっている限り、コンプライアンスの求められる企業社会で強制入社は絶対にありません。
5.交渉が終わって
ここで述べた内定辞退のプロセスをどう感じたでしょう。とても勇気が持てない恐ろしいものでしょうか。しかし会社に入った後は、日常的にこうした謝罪の場面は訪れます。特に文系の営業職や企画職など、人と接する仕事をする業務であれば、どんなことがあっても逃げることのできない「仕事」の一つです。
しかしこの厳しいコミュニケーションを学生の内にクリアできたらどうでしょう。就活面接通過どころか、その何段階も上のレベルの、実践ビジネスコミュニケーションに成功したことになるのです。就活では、わずか数カ月〜半年程度の間に大きな自己成長が見られます。就活が終わった後でも、これだけの困難な課題を処理できれば、確実に人として、社会人として成長するのは間違いありません。内定辞退という経験を経ずに入社する学生より、二歩も三歩も差がつくことになるでしょう。
皆さんの成功を祈ります。(増沢隆太)
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